飛騨群青

　朝起きて、冷凍していた白米を温める間に卵とベーコンを焼き、納豆を混ぜる。

　都内にあるレストラン"庭園"は広く明るい造りである。 　木製のテーブルや椅子が温かく、ガラス張りの壁からは外光が差し込んでいる。白い壁も清潔感があって、家族連れやカップルが好ん…

嫌なニュースが多い。 争いだの侵略だの森林伐採だの犯罪者集団だの、ともかく日常が脅かされているような報道ばかりが目につく。難民、孤児、疲弊していく兵士、拡大を続けるソーラーパネル…

夏がすべてを腐らせる。 恋も、希望も、生きる理由さえも。 “彼”を追って、姉は死んだ。 手元に残ったのは、水に溶けた手紙と、僕の心の底に沈んだ違和感。 これは、恋に呑まれた姉と、…

【第9回　古賀コン（私立古賀裕人文学祭）応募作品】 テーマ：ママにならないで 60分をみっちり使い切って書きました。

老人ホームにて、 老母との、 三題話 お題「記憶」「スイカ」「旗」

私は人生に失敗した。大学も就職も適当。 ただ楽な方に流れていった。 だから私は今、ビルの屋上に居る。

　毎週日曜日と木曜日は燃えるゴミの日の前であるから、排水溝の処理しなければいけないのである。 　作業は簡単。ネットに溜まった生ゴミを捨て、希釈した塩素系洗剤をシンクに撒き、時が…

現在大学三年生。就職活動の真っ只中。 やる気が起きずただ呆然と過ごす日々だった俺はその色彩に出会った。 美術館で出会った二つの絵。【卵を調理する老女】と【セビーリャの水売り】が…

2025年5月13日。火曜日。 深夜0時過ぎ。満月。 仕事を終える。 終電はもうない。 私は歩く。 私は橋の上。 私は欄干によりかかる。 蛍が飛んでいた。

望むからこそ、人は満たされない。 「次、いつ会える？」 紗枝の言葉に「来週かな」とだけ添えて、一人電車に乗った。彼女はこの後、スーパーによって食材を買い、家族の食事を用意して…

酒に支配されていた。 　何をやるにも酒が優先。仕事も趣味も何もかも、どうやって飲む時間を捻出するかを考えスケジュールを立ててしまうのである。 「飲みたい」 　何度目かのそんな…

彼女は女の匂いをさせていた。 いつも見る講義、席は決まって一番前の三列目。今日こそは話しかけようと、勇気を振り絞り「おはよう」と声かけると、有象無象に返す内容と同じ、「おはよう」…

山遊びをしていた「ぼく」と、その親友の白瀬は、洞窟内で奇妙な虫を見つける。そして、彼らは忘れられない体験をすることになるのだった。

夜更けである。 ダラダラとしていたらいつの間にか日も変わり、なんなら朝の方が近い時間となっていた。明日？　今日？　ともかく、一眠りしたら仕事があるというのにこの無法、さすがにやん…

思いついたので書きました。あたたかい家庭。

さて困ったぞと、こういう時に頼りになるのが親なわけだが、その親の問題なのだからまったく難儀しているのである。 「恐れ入りますが、二時間ほどで決めていただけますと」 病院。死体…

まったく気力が削がれる一日だった。 社内ではいらん諍いが起き親からは帰ってこいだのという連絡が届き恋人からは理不尽な怒りをぶつけられる。散々。これはもう駄目だという窮地に至り逃…

昔好きだった女が弁護士になっていた。 それを知り、愛が憎しみに変わった。自分が見下されていると感じたからだ。

今日でよかった。 天気は晴れ。日差しが暖かい。 生まれつき人と関わるのが苦手で酷く苦労したけれど、それでも生きてきた。 それも、今日までにしようと思った。

暴力！暴力！暴力！ 雰囲気がずっと暗い話を書こうと思って書きました。

人類は時間を物質の変化であると認識し、そこへ介入する事に成功した。 現在までの時間を変質させるのではなく、これまでの世界をデータ化する事により擬似パラレルワールドを生成。任意の…

嫌な事があった。 嫌いな人間にあれやこれやと言われ、反論もできず黙りこくってしまって、忸怩たる思いのまま帰ってきたのだ。

「あなたは素晴らしいです」 スマートフォンに表示されたその文字を見て満たされる。今日も頑張ろうと思った。 働き始めて2年が経つ。そろそろ仕事をものにして、出世や昇給だと湧き上…

僕は中学生、三つ離れたお姉ちゃんは大きな病気で入院している。毎日通って院内学校のテストの話や僕の学校の話をしあうのが楽しみだった。 一方、両親は病院に来る頻度は少なかった。 僕…

恐るべき妖怪・八尺様に、同じく八尺（2メートル）の肉体を持つ、あの伝説の男が戦いを挑む！

誰も彼もが争い傷つく。それを見ている人間でさえも。 人類は、おしなべて不幸だ。

新美陽一は29歳。うだつの上がらない日々を送り続けていたが、ある日会社を辞めてしまう。 何もすることがなくなり途方に暮れる新美。 そこにかかってきた一件の電話は……？

twitterのアンケート機能で「こういうカップルがいたとして、どうなるべきか？」と皆様に尋ねたところ、「こうなるべき」と言われた通りのことが起きます

たとえば、あなたが結婚して妻子がいて、そこに１千万円がポンと手元にあったらどうしますか？高級車を買う？飲み歩く？キャバで散在？いろいろ夢は膨らみ股間も膨らみますが、ちょっと冷静に…

『【三題噺 #34】「釣り」「フルーツ」「雑誌」』によせて書きました。

「偽教授避行杯」によせて書きました。めちゃくちゃ難しい…無軌道とは…。 ファンタジーと恋愛と伝奇とでジャンルに迷いましたが、大抵こういうときはホラーになっていることが多いのでホラ…

『【三題噺 #30】「ファン」「階段」「ミキサー」』によせて書きました。ジャンルはホラーか恋愛か迷ってホラーにしました。

なにか書きたくなったので書きました。

『【三題噺 #10】「森」「寿司」「メガネ」』によせて書きました。

KAC2023に参加するために作った話。 第3回お題「ぐちゃぐちゃ」 オノマトペがお題になるとは思っていなかった。ぐちゃぐちゃは混ぜる音か、血液がぐちゃぐちゃいくヤツかと迷ったが…

『第3回「1000文字以内でミッション全てクリアせよ！」』によせて書きました。

メタボ、もといメロスは走る事を決意した。 親友の為、否、己の健康のために。

或る画家のもとに、一通の手紙が届いた。それはかつて浅からぬ交流のあった青年からのものだった。

「第四回偽物川小説大賞」によせて、もうひとつ夫婦の話を書きました。二作目です。

お借りした設定で書いたものです（以下）。 https://twitter.com/koubutuhasakana/status/1531896173929193473 草食ったさ…

草食ったさんのイラスト（https://twitter.com/koubutuhasakana/status/1531896173929193473?s=21&t=wQhKioj…

「第四回性癖小説選手権」によせて書きました。三作目です。 性癖：生首 性癖：死体処理 性癖：和服の似合う美人 性癖：古めの女性一人称