概要
けれど、僕は踏み出せなかった。
彼女は女の匂いをさせていた。
いつも見る講義、席は決まって一番前の三列目。今日こそは話しかけようと、勇気を振り絞り「おはよう」と声かけると、有象無象に返す内容と同じ、「おはよう」で完結する。
もっと僕を見てほしいのに、声を聞いてほしいのに、彼女はあらぬ方向を見て、声を出す。それが堪らなく、耐え難く、僕は彼女と話したという記憶ができあがっただけで終わる。それだけだ。
いつも見る講義、席は決まって一番前の三列目。今日こそは話しかけようと、勇気を振り絞り「おはよう」と声かけると、有象無象に返す内容と同じ、「おはよう」で完結する。
もっと僕を見てほしいのに、声を聞いてほしいのに、彼女はあらぬ方向を見て、声を出す。それが堪らなく、耐え難く、僕は彼女と話したという記憶ができあがっただけで終わる。それだけだ。
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