大きなスタジアムに集まってスポーツ観戦で盛り上がっている人達の姿を見ると、この人達が狂喜しているのと同じテンションで激怒する時のことをつい想像してしまう。応援中のチームが負けた途端、ファンが暴徒に豹変して、観客席の柵を突き破りフィールドへなだれ込むような事件がよくあるが、あんなふうに、喜びで頭の中をいっぱいにできる人は、怒りでも頭の中がいっぱいになるんだろうな、という怖さがある。
スポーツ観戦に限った話ではない。ミュージシャンやアイドルのライヴイベントでもそうだ。喜怒哀楽にのぼせ上がることは本人達にとっては気持ちいいのかもしれないが、感情ほど怖ろしいものはない。「大衆を扇動するには理屈を説くよりも感情に訴えかけるほうが効果的だ」と誰かさんが言っていたのをたびたび思い出す。恋愛の昂揚感が大好きな人達の気持ちも自分にはよくわからない。わからないなりに描きはするが……。