第3話を全文掲載してみる。
近況ノート/掲示板に掲載しましたが、あらすじとかでは生ぬるい。本編に飛ばなくても第3話が読めて、多少なりとも内容を感じてもらい、では、第4話は?という以降に興味を持ってもらいたいという意図であります。面白いんだけどなあ。読んで!下さい!
🎀転生JDと新たな秦王朝、
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第9話 妊娠した張麗華
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秦末漢初の編年史:始皇帝の死から紀元前205年まで
https://x.gd/k2MUS 第1話 張麗華の艶やかな入室
https://x.gd/9Cw3m 第2話 アンヌ、張麗華の秘密を明かす
https://x.gd/BjsZ0 第3話 アンヌ、自分の秘密を明かす
https://x.gd/i8MPq第3話 アンヌ、自分の秘密を明かす
【紀元前205年1月、咸陽】
アンヌ、自分の秘密を明かす
それまで黙っていた張麗華(ちょうれいか)が、「安女(アンヌ)殿、私にもあなたの言われることはサッパリわからん。なぜ、呂雉(りょち)殿が韓信の家を滅ぼそうと企んでいるとわかる?」
「……実は、昔、私は呂雉(りょち)殿の閨房の寝室に忍び込んだことがあるのです。そこで、呂雉(りょち)殿と彼女の謀臣の宦官芮晨(ぜいしん)の会話を聴いたからです」
「まさか!あなたという人は……」
「張麗華(ちょうれいか)殿、呂雉(りょち)殿と彼女の謀臣の宦官芮晨(ぜいしん)は、今のこの世の者ではないのです。今よりも二千二百三十年後(2025年)の、東海の倭国に生きていた人間が呂雉(りょち)殿と彼女の謀臣の宦官芮晨(ぜいしん)に取り憑いた姿だからです」
「……そんな突拍子もない話を信じられるものか!」
「いえいえ、張麗華(ちょうれいか)殿、呂雉(りょち)殿と彼女の謀臣の宦官芮晨(ぜいしん)だけではなく、私も蜀の僻村、尾藤村の農家の娘、張蓉(ヂャン ロン)に取り憑いた張安女(ヂャン アンヌ)、ではなく、二千二百三十年後から来た曽根崎アンヌという女だとしたらどう思われますか?呂雉(りょち)殿と彼女の謀臣の宦官芮晨(ぜいしん)と私は、未来の知識を持っています。これから起きる歴史を知っています」安女(アンヌ)の突拍子もない話を三人は黙って聴いていた。
「このまま歴史が進めば、今から三年後、項羽を滅して、劉邦殿は中華統一をなさいます。そして、漢朝を興されます。漢朝を興した功臣は、韓信様を含めて、楚王などに封じられますが、呂雉(りょち)殿の策謀で降格され、やがて反乱をでっちあげられ、劉邦殿に殺されるのです。今から十一年後、紀元前196年と言いますが、その年、韓信様は呂雉(りょち)、呂雉(りょち)一族の監禁を企てます。それが露見して、蕭何殿の偽報告で誘い出され、将来建設される未央宮という宮殿で韓信様は斬首されます。その時、張麗華(ちょうれいか)殿、秦瑛(しんえい)様、盧氏瑛(ろしえい)様、私、私たちの子たち、旦那様の九族が斬首されるのです。私は、私たちは、生き延びるために、私らの子たちのために、この歴史を変えねばなりません!」
三人はこの話に呆気にとられた。三人はバラバラに言い出した。
張麗華(ちょうれいか)は、「……安女(アンヌ)殿が未来を知っている?それで私と韓麗信(かんれいしん)の死を防ぐというのか……信じられん……」と呟いた。
盧氏瑛(ろしえい)は「では、私たちは皆、歴史を変えるために安女(アンヌ)様に集められたのですか?」と天井を見上げて言った。
秦瑛(しんえい)は、「では、漢朝を滅した後は……え?えええ?まさか、新たな秦朝を興すのですか?……秦朝の再興?私と盧氏瑛(ろしえい)の血脈はそのための……?」とポツリと言った。
張麗華(ちょうれいか)はしばらく唸っていたが、安女(アンヌ)の顔をジッと見つめて、「突拍子もない話だが、信じるとしてだな、この話を韓信殿には既に話したのであろうな?」とアンヌに尋ねた。
「いいえ、話しておりません。みなさまに張麗華(ちょうれいか)様の秘密を明かすのも、韓麗信(かんれいしん)の出生の秘密を明かすのも、私の秘密を明かすのもなにひとつ、旦那様には申し上げておりません」
「なぜだ?安女(アンヌ)殿、韓信殿はこの話の当事者ではないか?」
「それは、これらの秘密を旦那様に明かした場合、当事者の韓信様がこれからの歴史を知って、悪しき方向に動くのを防ぐためです。軍事上の決定に影響がでますから。歴史を変える指図は、おそれながら、私からみなさまに申し上げます」
「安女(アンヌ)殿、私は韓信の副官だぞ?私が秘密を知っているということは、軍事上の決定に影響がでるではないか?」
「いいえ、もう貴方様は、韓麗信(かんれいしん)の母親、あなたが私の指図に逆らうことはありますまい。韓麗信(かんれいしん)の命に関わることでありますれば」
「……まだ、私は理解しきれていないようだ……では、この羌族の五人は?彼女らはもう知ってしまったぞ!」
「彼女たちにはこれから重要な役割を命じます。まず、韓信様のお種を彼女たちにも……」
「えええ!」と秦瑛(しんえい)と盧氏瑛(ろしえい)がまだ旦那様に女をあてがうのか!という顔で安女(アンヌ)を睨みつけた。
「おふた方とも、そんなに睨みつけないでくださいませ。良くお考えくださいませ。私たちは四人ですよ?張麗華(ちょうれいか)殿は女子を授かりました。盧氏瑛(ろしえい)様は妊娠したとは言え、男子が産まれるかどうかもわかりません。秦瑛(しんえい)様と私はまだ妊娠すらしておりません。腹の数が足らないのです。この五人は……」と羌族の女たちを振り返った。
「羌族の戦士です。頑健な体と忍びの術、房中術を学ばせました。韓信様と張麗華(ちょうれいか)殿のこれから起こる戦場で貴方方を守ってもらいます。さらに、彼女たちにも韓信様とまぐわってもらいます。月葵(げっき)と風雀(ふうじゃく)、皆のもの良いな」と五人に言った。五人は黙って安女(アンヌ)を拝跪した。
「それだけではありません。張麗華(ちょうれいか)殿、漢軍の中で、韓信様が信頼できる将官はあなた様の他におられますか?」
「沛県のやつらはダメだろう。劉邦殿に忠実だ。蕭何殿もそうだな。曹参、樊噲、灌嬰、夏侯嬰は絶対にダメだ。張良殿は沛県出身ではなく関係ないが、この世を超越してそうで、ありゃあ、中立派だな。それに始皇帝暗殺も企てた。秦瑛(しんえい)殿が秦朝の第二皇女で、その子が!なんて言ったら反発されるのは目に見えている。そうだなあ……韓信殿をライバル視しているが、周勃将軍(しゅうぼつ)は仲間になれそうだ。戦にも強い。それから……靳歙(きんきゅう)将軍かな?韓信の信頼を受けた部下として、三秦攻略の補助戦闘に従事した男だ。雍王軍の側面を攻撃して、咸陽への進軍路を確保した。韓信の奇襲を側面から支援して、雍王の退路を断つ役割を果たしたんだ。あいつは信頼できる」
「張麗華(ちょうれいか)殿、周勃将軍と靳歙将軍、女に弱いのはどちらですか?」
「女に目がなくって失敗しているのは、絶対に周勃だ。靳歙は節度があるが……女の私にそんなことを聞くな!安女(アンヌ)殿!」
「わかりました。月葵(げっき)、風雀(ふうじゃく)、皆のもの、まず周勃将軍を落とせ。次に靳歙将軍だ。月葵(げっき)、風雀(ふうじゃく)と蒼鹿(そうろく)は周勃将軍を担当せよ。瑠花(りゅうか)と麗羊(れいよう)は靳歙将軍の担当だ。落とすだけではなく、彼らの子を授かって、こちらの仲間に引き入れるのだぞ」と命じた。
「……安女(アンヌ)殿、あなたは恐ろしい人だ……」と張麗華(ちょうれいか)。
「私たちが生き延びるためには何でもしますわ。例え、鬼畜の行いであろうと。呂雉(りょち)も同じように思っていることでしょう。私たちは何をしているのか、わかりますか?張麗華(ちょうれいか)、生き残りなのよ。彼女が勝つか、私が勝つかの生き残り。あなた方はそれに巻き込まれたの。でも、九族斬首をただ待つよりもいいことだと思いますが、さてさて、どう思われますか、みなさま?」