💯雪の残る湯宿、
https://x.gd/Gacci 山奥の小さな宿で中年男と壊れたゴスロリ少女の凍てついた夜が始まろうとしていた。
第5話 狐の憑婚
https://x.gd/jGmtz 第6話 省吾の告白
第7話 狐落とし
今回、次回はマアちゃんは登場しません。第7話で出てきます。
岩手県の山奥、小野能勢村では、村人以外門外不出、口外を憚られる収穫祭の儀式が八年に一度行われていた。
収穫祭の喧騒が去って数日後、儀式の主役を務めた杵崎恭子の体に異変が現れた。
最初は、背骨のあたりにわずかなざわめきを感じるだけだった。夜の静寂の中で、皮膚の下から何かが蠢き、微かな熱を帯びる。朝になるとそれは消えていたが、日を追うごとに変化は明確になった。恭子は毎朝鏡の前で背中を確かめ、ざわめきが広がるのを感じて胸がざわついた。あの儀式の夜、狐神が体に残した残滓が、ゆっくりと体を蝕んでいるのではないかと、恭子は不安に駆られ、夜眠れなくなる日が増えていった。
脊柱に沿って、細い赤褐色の毛が芽吹くように生え始めた。最初は数本だったものが、徐々に帯状に広がり、狐の剛毛のような質感を持つ毛皮へと変貌していく。触れると脈打つように熱く、金色の光を帯び、皮膚の下で狐の啼き声が響くような幻聴が恭子を苛んだ。恭子は一人でその毛を抜こうとしたが、抜くたび血がにじみ、痛みとともに新たな毛がすぐに生えてくる。体が自分のものではなくなっていく恐怖が、恭子の心を蝕み、食欲も失せ、鏡を見るのが怖くなった。
鏡の前で背中を晒した恭子は、震える指でその毛皮を撫でた。毛は生き物のように反応し、指に絡みついた。冷たい肌の奥で、何かが蠢いている。恭子は涙を浮かべ、毛皮を掻き毟ろうとしたが、止まらなかった。狐神の憑依が、体に根を張り、恭子の意志を嘲笑うように広がっていくのを感じ、絶望が胸を締めつけた。
儀式の夜に狐神が宿った記憶が、鮮やかに蘇った。淫らな宴、魂を削るような交合、血と白濁に塗れた森の闇。あの夜、恭子の人格は一時的に狐に食われていた。今、その残滓が体に根を張り始めている。恭子は儀式の興奮を思い出し、体が熱くなるのを感じ、恥ずかしさと恐怖が混じり合って混乱した。あの夜の快楽が、狐の呪いとして体に残っているのだと悟り、恭子は一人で震えた。
恭子は耐えかねて、儀式の相手を務めた吉村省吾に相談した。
村の霧が立ち込める夜、神社の裏手で二人は密かに会った。恭子は浴衣をはだけ、背中を露わにした。
「見て、省吾……これ、何なの? 狐がまだ、私の中にいるみたい」
省吾は息を飲み、指でそれに触れた。指が触れると、毛皮がざわめき、恭子の体が震えた。儀式の記憶が二人の間に蘇り、互いの体を抱きしめながら、恐怖と残る欲求の狭間で喘いだ。だが、これは幻ではない。現実の怪異だ。省吾は恭子の背中を見て、罪悪感と心配が胸を締めつけた。あの儀式で恭子を傷つけたのではないかと、後悔が省吾の心を苛んだ。