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「新編 かごしま物語」第1話 飛来した薩摩おごじょ、第2話 彩花、乱れる

🔴新編 かごしま物語、https://bit.ly/44HSwZQ
元ミス鹿児島の中村彩花はネット友達の宮部明彦がネットに公開した『こくら物語』に腹を立て、羽田空港で初対面の彼に鹿児島弁全開で詰め寄った
 第1話 飛来した薩摩おごじょ
 https://x.gd/makGo
 第2話 彩花、乱れる
 https://x.gd/qlG6b

 カク◯ムの書き手と読み手だけの関係ではなく、私と明彦はSMSのDMでかなり突っ込んだ話をしていて、鹿児島からここに来るのに、私はかなりやる気満々だった。外の情景は、バスの窓から見える東京の夜景が流れていき、座席の革の匂いが鼻についた。私のスーツケースは網棚にガタンと乗せていた。

 東京駅八重洲北口のリムジンバス停に着いて、そこから彼が私のスーツケースをガラガラ引いて、八丁堀というところのホテルまで歩いていった。タクシーじゃないの? と直接聞くと、「あのさあ、彩花は東京を知らないだろうけど、東京駅から八丁堀にタクシーで行ったら運転手さんに嫌な顔をされるよ」と彼が言う。ああ、そういう地理的な理由ね、納得だ。私は内心、「東京ってややこしいね。明彦、慣れてるなあ」と感心した。明彦の内心、「彩花に東京の常識を説明するのは面倒だけど仕方ないよな」と諦めていただろう。

 ホテルに着いた。彼が契約している会社指定のホテルは、まさに完璧なビジネスホテルだ! 完璧というのは、まあ、典型的な意味での完璧だけど。エントランスはシンプルで、灰色のタイルが敷き詰められていて、照明がチカチカ白っぽい。カウンターにいた従業員に、「お世話になります。宮部の妻でございま…」まで言ったら、彼が私の手を掴んでエレベーターの方に引きずっていった。いいじゃない、ちょっとしたジョークなのに! 私は内心、「明彦が慌ててる顔が面白いね。もっとからかいたい」と笑いそうだった。

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