この間、身内がこんなことを言い出しました。
「最近、肩の可動域が狭まっている気がする……」
肘を曲げずに腕を頭上に持ち上げる際、以前なら上腕が耳の後ろに行くまで肩関節を動かせていたのが、今は耳の手前までしか動かせないのだそうです。なんでも、無理に動かそうとすると、首や肩周りの筋が攣るような痛みが走るのだとか。元々肩凝りが酷いとは聞いていたので「肩凝りかい?」と訊いてみたところ、「そうだけど、そうじゃないかも」と首を捻ってるので、聞いている私はもっと首を捻る事になりました。
その身内……仮にAとしておきます。A曰く、肩凝りは行き過ぎると痛みになり、痛みが自然に治まる頃には関節の可動域が狭まっているのだそうです。
「こうして徐々に、肩関節の可動域を狭めてきたのだ」
と、困っているのか自慢しているのかよく分からないことを言うのです。まあ、日常生活を送るうえで頭上に腕を伸ばすのなんてお洗濯を干す時くらいかもしれませんが、興味深い話ではあります。そのまま聞いておりますと、Aは「この現象は質量保存の法則に準じてるかもしれんね」と言い出しました。
……?? よく分かりません。質量保存の法則って、閉じた系の質量は化学変化で形を変えることはあっても質量としての総量は変わらない、的な話だった気がします。物質やエネルギーの一部が化学変化により違うエネルギー等として放出されることはあっても、質量としての総量は変わらない、みたいなことでしたっけ……?
Aが熱く語ります。
「肩の可動域という状態の一部が痛みというエネルギーに変化して放出された為、可動域が狭まるのではないか。つまり、密閉した状態(←痛みエネルギーを何らかの方法でその場に留めるという意味だと思われます)なら、可動域は変わっていなかったはずだと思う(ドヤァ)」
……?? でも、実際の空間は閉じた系ではなく開放系なので、そのエネルギー(肩の痛み)は何処かに行ってしまうということ?? えっ、何処に行っちゃうの??
私の当然の疑問に、
「分からん……けど多分、再び形を変えて世界の何処かで誰かの肩関節を柔らかくしたりしているんじゃないかな……」
怖っ! なんかAの考え方、SFというよりホラーなんですよ! もう「ヘエ、ソウナンダァ」としか言えません。
取り敢えずAに「youの肩の痛みは、多分関節が石灰化してるって事だと思う……」と伝えるべきか迷っている次第です。