…とまではいかないが
無意識に容姿を変える時期があった。
前の職場では、転職前提で就いた新入社員時代なこともあり…虫ピン眼鏡と引っ詰め姿で、此でもかと云わせんばかりに顔パーツの印象を薄れさせるアイテムを使いこなしていた。
無論、其だけで顔自体が変貌するわけではないが「私」の印象を遺すには効果的であった。
有りがちな地味眼鏡にあたふた戸惑う新人。
特別印象に為らないが、他人が思い出す姿。
配属先に伴いその後は茶髪のショートヘア。
充満するストレスで剥れた顔に下手な化粧。
たどたどしい言葉遣いと人より勤勉な姿勢。
コスプレのきっかけと云うのは甚だ意外かもしれないが、他人に自然体の姿を見せることなく職場引退後の私生活を重んじることは決して楽ではない。変装も仕事と共に慣れである。