昨日、『風の記憶』の「ふじの記憶」全五話の公開が終わりました。
「風の記憶」は、『黄金の風、戦国の空』の中では描ききれない人たちの物語です。
歴史の表舞台に立つことはなくても、
誰かを育て、
誰かを想い、
笑ったり、泣いたりしながら、
確かにその時代を生きていた人たち。
そんな人たちの記憶を、一つずつ残していけたらと思って始めました。
今回の「ふじの記憶」は、加羅がまだ小さかった頃のお話です。
山の村に突然現れた、銀色の髪を持つ赤ん坊。
ふじにとっては、神様から授かったような子でした。
小さな手。
小さな足。
初めての言葉。
手ぬぐいを結んだ日。
そして、いつしか「とと」と呼ぶようになった日。
大きな戦も、歴史を変える出来事もありません。
ただ、一人の子どもが育っていく時間と、
その子を育てた人の暮らしを書きました。
書いているうちに、ふと思ったことがあります。
これは「加羅を育てたふじの話」だけではなく、
「加羅に育ててもらったふじの話」でもあるのかもしれない、と。
物語を書いていると、主人公の人生ばかりを追いかけてしまいます。
けれど、その主人公のそばには、
名前を残さなかった人たちがいて、
その人たちにも、それぞれの人生があった。
『風の記憶』では、
そんな人たちの時間も、少しずつ書いていきたいと思っています。
昨日で「ふじの記憶」は五話まで公開できました。
読んでくださった方、
そして、これから読んでくださる方へ。
小さな物語ですが、
風が吹くように、心に残ってくれたら嬉しいです。
これからも『風の記憶』を、少しずつ綴っていきます。
https://kakuyomu.jp/works/11054822663206021605