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【都市伝説・黙示録未収録断章ログ】第01記録:リリスと“裏切られた神々”

【第01記録:リリスと“裏切られた神々”──悪魔は本当に悪だったのか?】

■1 「リリス」は「聖典」からは消された存在だった

旧約聖書の正典には、
「リリス(Lilith)」の名は、ほとんど記されていません。

彼女の名は、
ヘブライ語の「夜(לַיְלָה|ライラー)」、
または「霊(רוּחַ|ルーアハ)」に由来するとされ、
夜に現れる女の悪霊、子どもをさらう魔女として語られてきました。

ラテン語訳聖書『ウルガタ』以前のヘブライ語写本には、
彼女を示唆するわずかな痕跡が残されています。

“Noctis daemonium.”
(夜の魔なるもの)

さらに、ユダヤ神秘主義(カバラ)文献には、
より直接的な表現が存在します。

“Primam Evam ante Evam.”
(イヴ以前の、最初の女)

また、より古いユダヤ神秘主義文書
『ベン・シラのアルファベット(Alphabet of Ben Sira)』には、
次のように記されています。

「神は、アダムと同じ土(עָפָר|アファール)から、
リリスを創った。
だが彼女は、アダムの下に伏すことを拒み、
『私はあなたと同じ存在だ』と叫び、
エデン(עֵדֶן|エデン)を去った」

つまり彼女は、
「存在していたが、『正典』から消された存在」なのです。

リリスは、去った後、
堕天使サマエル(Samael)──
すなわち「毒の天使」とも「左の神」とも呼ばれる存在、
あるいは複数の悪霊たちと交わったとされます。

その交わりから生まれたのが、

リリン(Lîlîn|לִילִין)
夜に現れる、無数の“子孫たち”。

■2 都市伝説:悪魔とは「敗北した神々」の改名だった説

さて。
ここからは、世界神話の危険な再構築を試してみましょう。

ユダヤ教・キリスト教世界において、
「悪魔」と呼ばれる存在の多くは、
実は他地域では「神」として祀られていた存在です。

いくつか代表例を挙げると──

● バアル(Baal)

『旧約聖書』では、
「堕落と淫靡をもたらす異端の神」として断罪されています。

“Omnis Baal abominatio est.”
(バアルはすべて忌むべきものなり)

しかし本来のバアルは、
カナン地方の嵐と豊穣の神であり、
農耕と生命を司る「正統な守護神」でした。

つまり――
多神教側では神、一神教側では悪魔。

● パズズ(Pazuzu)

メソポタミア由来の風の魔神。
キリスト教圏では、
疫病と死をもたらす悪魔として扱われます。

ところが、原典ではパズズは、

「疫病神ラマシュトゥを追い払う守護神」

としての性格が強く、
実際には護符にも刻まれていた存在でした。

悪を祓う神が、
いつの間にか“悪そのもの”に改名される──
これは、一神教が成立して以降、
各地で繰り返された現象なのです。

● デビル(Devil)の語源

英語の Devil は、
ギリシア語 Diabolos(διάβολος|分断する者) に由来します。

しかし都市伝説領域では、
さらに“深い層”の説が囁かれています。

それが――
インド神話の“デーヴァ(Deva)”神族の語形転倒説です。

デーヴァ(Deva)= 神々
アスラ(Asura)= 敵対者・悪

これがゾロアスター教を経由して、
善悪が完全に反転。

神だった者たちが、悪魔へと格下げされた

という解釈が生まれました。

■ 黙示録未収録断章:神は“勝者だけを残した”

『ヨハネの黙示録』には、
天使と獣、神と悪魔の最終戦争が描かれています。

“Bellum in caelo factum est.”
(天において戦争が起こった)

しかし、神秘主義の『外典』では、
こんな言葉が密かに囁かれています。

「記された黙示録とは、
“勝った側が編集した戦争記録”にすぎない」

つまり――
敗れた神々、追放された神々、
沈められた神話や異端思想は、
すべて「悪魔」へと「書き換えられた」のです。

「リリス」もまた、
その一柱だった可能性があるとは思いませんか?

■ 『幽世のリリン』の再構築思想

『幽世のリリン』は、この神話構造を、
異なる世界線=パラレルワールドとして、再構築しています。

もしも、エデンで追放されたのが、
「リリス」ではなく――
「世界の方」だったとしたら。

もしも「リリス」が交わったのが、
堕天使でも悪霊でもなく、
そもそも「アダム」そのものだったとしたら──

もしも、
一神教世界の外側へ弾き出された神々、悪魔たち、
多神教、異端、古き精霊信仰すべてが、

「リリン」

と総称される存在だったとしたら。

それらは“悪”ではなく、
「一度、歴史そのものから立ち消された神々」だったと、
考えてみても良いのかもしれません。

『幽世のリリン』における
「リリン」とは、悪霊ではありません。

それは――
「追放された側の神話の神々」や「悪魔」「堕天使」の総称なのです。

■ ログ記録結語

① 悪魔とは、異教の神の改名である
② リリスは、敗北した最初の女神である
③ リリンとは、追放された「別系統の神々」である

黙示録は、「勝者の歴史書」にすぎません。

そして『幽世のリリン』とは――

「『正典』から消された側の、架空の世界線」

いわゆる『偽書(Apocrypha)』としての、
「別の黙示録」の物語を紡ぐ作品なのです。


──その『偽書』
お時間があれば、是非……

『幽世のリリン』
https://kakuyomu.jp/works/822139838714206414

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