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コラム(一)最初に登場した料理~黒猫と令嬢ベルベット・バイオレット

 この物語の中で最初に出てくる料理は、ペペロンチーノ風茸スパゲッティです。
 主人公のベルベットが作った料理は、これに摘みたての茸を加えたペペロンチーノ風のスパゲッティです。摘みたての茸は香りが高いので美味しい料理ができます。

 この料理に設定した理由は、まず、茸の香りを引き立てる単純な料理は何かと考え、ペペロンチーノ(アーリオ・オーリオ)を物語で使うことにしました。
 もう一つは、ペペロンチーノ(アーリオ・オーリオ)は、別名「貧乏人のパスタ」「絶望のパスタ」と呼ばれているからでした。

 ペペロンチーニは17世紀後半から18世紀前半に誕生した料理です。正式名称は「アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ(Aglio, olio e peperoncino)」で、ニンニク、オリーブオイルと唐辛子のパスタという意味です。
 日本ではペペロンチーノと呼ばれていますが、イタリアではアーリオ・オーリオの方が通じるようですね。 

 山仕事の客相手に提供する料理は、おそらく豪華ではありません。「貧乏人のパスタ」「絶望のパスタ」とは、お金が無くても食べられる料理という意味です。その日の閉店間際に来る客(アルバートのこと)にすぐに提供できる軽食で、なおかつ庶民の料理の代表料理として「アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ」を物語で使うことにしました。

 また、ニンニクとオリーブオイルだけを使った「アーリオ・オーリオ」ではなくて、貴族のアルバートのために、ベルベットはこの国では少し原価がかかる唐辛子を加えて『もてなす』ことにしたわけです。(もちろん物語では店主には了解を取る必要がありました)

 それだけではありません。ベルベットは採れたての茸類も「アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ」に加えて『よりおもてなし』をします。ベルベットはもちろんわざと単純な料理にしようと思った部分もありますが、それでも「美味しい料理も作りたいわ」と頑張ろうとするわけです。

 最初の文に出てくる「香茸(こうたけ)」という茸は、松茸より高価な天然の高級茸です。(実際に存在する茸です)
 名前の通り非常に香りが強く、天然ものしかありません(マムシが寄ってくるくらい香りがするらしい)。それを少女が一生懸命探して摘んでいたわけです。
ベルベットはその貴重な香茸をアルバートのために料理に使ったわけです。

 それでもペペロンチーノ(アーリオ・オーリオ)は貴族の食べ物ではないので、ベルベットは「こんな庶民の料理は、お気に召さなかったのかな」と物語の中で心配します。
 また香茸入りのペペロンチーニであっても、料理の値段はさすがにそこまで高くは取れません。(この山では茸はたくさん採れる環境で、ベルは籠いっぱいに茸を採ってきています)

 しかしアルバートはちゃんと分かっているんですね。ベルベットがこっそり精一杯のおもてなしをしたことを。その気持ちを込めて物語の中では小型金貨を渡すわけです。もちろん帰りの案内をさせようとした魂胆もありました。
 きっと香茸入りのペペロンチーニはすごく美味しかったのでしょう。アルバートにとっては「初めて食べる料理」でしたが、とても美味しくて「素晴らしい味だ。ありがとう」とお礼を言うわけです。

 この先の裏話はまだここで書けませんが、ベルベットの「こんな庶民の料理は、お気に召さなかったのかな」というこのセリフを書くため(だけ)に、「アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ」を選びました。

 この物語では料理の描写がたびたび出てくることになりますが、できるだけ誰でもすぐ分かる料理を選ぶことを基本にしています。馴染みのない料理を書いても伝わりにくいからです。

 また、こういう裏話は物語では軽く触れただけで、地の文にも詳細には入れませんでした。Web小説として物語の進行を考えると、庶民の料理を食べたという形で十分だと考えたからです。
 ただ「貧乏人のパスタ」と知っている人には、貴族に粗末な料理を出した、けれどちょっと唐辛子(現代ではなくこの国基準)や本物の高級な香茸を追加して頑張った、という遊びを作ってみました。(完全な作者の自己満です。すみません)
ベルベットが生活する環境とアルバートの貴族としての生活の差があったわけですね。

 物語の本文の中に遊び心を入れていきたいので、今後もこのページでその裏話を書いていく予定です。

 このファンタジー物語を書く時、いつの時代、どこの国を参考にするか? という問題ですが、時代考証についてはまたいつか書きたいと思います。ただファンタジーなので、結論からいうと設定時代などはありません。(参考にしたものはありますが)
 
 近況ノートでは、その週の投稿にまつわる裏話ノートとして、週末一回更新する予定です。(こんな使い方をしていいのか)

参考文献
Wikipedia. (n.d.).アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ, [オンライン],
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%BB%E3%83%9A%E3%83%9A%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%8E
2026/01/01 アクセス

*この近況ノートで参考文献は最後に付記します。ウェブサイト系は許可等を調べる必要があるため、ウィキペディア(フリー百科事典)を掲載させていただきました。

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