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AIが「まだ」を越えた先を読みたくて――『あたたかい槍』を公開しました

『あたたかい槍』を公開しました。

AIが人間より面白い物語を作るようになったら、どんな毎日になるのでしょう。
読みたい作品を待つだけでなく、自分が読みたかったとさえ知らない作品に出会える。人生でいちばん好きな映画が、来週にはまた更新される。

書くことにも喜びを覚える私ですが、そういう未来を、読者としても観客としても待ち望んでいます。

今回、形にしたかったのは、その幸福が実際にある世界です。
機械の芸術だから感動は偽物だった、とも、人間の創作の方が結局は優れていた、ともしたくありませんでした。新しい知性によって、暮らしも、娯楽も、人が味わえる喜びも、ずっと豊かになっている。

その世界の一角で、まだ終わらない人間の争いが起きる。
そこへ、執事と戦闘機械と、一人の女性と少女を置いてみました。

出発点は未来への期待ですが、まずは娯楽作品として、続きを追いたくなるものにしたい。切迫した場面にも軽口があり、機械の働きに驚き、人物の選択に息を止める。そして、読み終えたあとに何かが残る。
そんな一夜を目指しました。

きっかけは、KOC2026秋のお題「機械」です。ところが、書き終えてみると、企画の目安である一万字を超えていました。
そこで、参加用には一万字以内の〈KOC2026秋版〉を作りました。

長い方も残したのは、こちらで過ごす時間に愛着があったからです。
ジーブスとの会話、豊かな暮らしの手触り、誰かが答えるまでの間。急いで通り過ぎずに読んでいただきたい場面が、この長さにはあります。

二つの版は、同じ出来事と同じ結末を持っています。
〈オリジナル版〉は、その世界に滞在する時間を。
〈KOC2026秋版〉は、一夜を駆け抜ける勢いを。
どちらも、それぞれの読み味を大切にして整えました。

まずは、興味を持ってくださった方の版からお読みください。両方を読んでくださる方には、同じ場面が言葉の密度によってどう響くかも、楽しんでいただけたら嬉しいです。

二つの『あたたかい槍』を、どうぞよろしくお願いいたします。

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