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寝落ちした俺の横で、嫁が見張りをしていた

『【リオン】、次どこ行く?』

『【リオン】?』

『……あ、寝てる』

 三年前のログである。
 東の森の入り口で座りこんだまま、俺はキーボードの前で落ちている。
 画面の中の【リオン】だけが、律儀に盾を構えて座っていたらしい。

『じゃあ私、見張りしてるね』

『魔物が来たら起こすから』

『来なかったら、起こさない』

『……ずるいかな、これ』

 ログはそこで、しばらく止まっている。

『【リオン】の盾、近くで見るとけっこう傷だらけだね』

『いつも前に立ってくれて、ありがと』

『あ、今のは聞いてないよね』

『聞いてないなら、もう一回だけ言っとく』

『ありがと』

『眠くなってきちゃった。私も落ちるね』

『おやすみ、【リオン】』

 見張りは、きっかり十二分で終わっていた。
 翌朝、机に突っ伏したまま目を覚ました俺は、このログを読んで二度寝できなくなった。
 画面の中では【リオン】が、まだ盾を構えて座っていた。

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