きちんと、作業時間が取れればざっとこんなもんです。
以下がいわゆる「素組」でございますが、ここからト書きや伏字にしている変数[hoge]状態の部分をきちんと記述すれば、完成原稿になります。
では、虫抑え乍ら、どうぞ。
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大正二年、今は無き西暦に直して1917年のことである。清が施政改革を行っているさなか、時の首相はついに内務大臣の座も譲って、残るは閑職である文部大臣だけであった。さすがに、閑職なだけあって文部大臣は兼任しても問題ないという判断もあったのか、あるいは垣屋首相による教職員に対する監視を光らせたままにしておいた方が浄化作用の面から得策だという判断だったのか、以後垣屋首相は文部大臣を兼任する場面が多く存在した。
そして、垣屋首相が大正二年度の予算案を閣僚会議の俎上に載せた折に、清からの使者が到着した。なんでも、大日本帝国の偉人から一人選んで次の皇帝として震旦地域の禅譲をしたいという。常道ならば震旦の地がそのまま転がり込んでくることを考慮し、嬉々として受け取るであろう、少なくとも清王朝側の使者はそう考えていた。だが……。
「断るべきです」
「……やっぱ、そうなるよねえ……」
外務大臣、石井菊次郎は清王朝の提案を断ることを主張した。普通ならば受け取るだろうに、なぜ彼は清王朝の提案を断ることを主張したのか。それは……。
「本朝は、震旦の動乱にかかわるべきではありません。関東州や朝鮮半島、台湾島などは是非もないことですが、震旦全土を確保した場合、何が起こるか想像がつきますか」
「……本朝が「日本省」になるのまでは見えた」
「……まあ、そちらもあります。というか、首相は真っ先に飛びつくと思ったのでくぎを刺そうとしたのですが……」
「そのあたりは、ちょっと過小評価されてんだな、おれ」
「ああ、いえ、そういうことではありませんが……まあ、首相が反対なさるのであれば、私はこれ以上は申しません」
「とはいえ、震旦分割は良い手だと思うが……」
「……まあ、それは確かにその通りではあります。しかし、本朝の手を煩わせる事態になってはいけませんな」
「……まあ、それはわかってる。しかし、清王朝も大日本帝国の推挙は欲しいと思うし……」
一同、押し黙り、清王朝の使者がおろおろし始めたころのことである。突如として、**大臣が声を上げた。
「要は、大日本帝国の推挙であれば別に臣民を生贄にしなくてもよろしいのでは?」
「いやまあ、それはそうなんだろうが……」
「とはいえ、誰か良い案はあるのか?」
「ええ、とっておきの人物が、一人」
「ほう」
そして、白羽の矢が立ったのは……。