皆さま、こんにちは。細川雅堂です。
現在連載中の『傀儡の夜明け』も、いよいよ7月29日に完結を迎えます。最後までお付き合いいただけましたら幸いです。
さて、本日は皆さまに一つお知らせと、少しだけ「執筆秘話」をお話しさせてください。
実は、7月30日(木)より、新しい物語を公開することになりました。
タイトルは『くもらぬ月――幕末を照らした無私の歌人・大田垣蓮月――』です。
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歴史小説の新しいインスピレーションを求めて、日課のように歴史上の人物を調べる中、「魅力的な女性主人公を描いてみたい」と検索を重ねていた時のことです。
私は、ある一首の和歌に出会いました。
「願はくはのちの蓮の花のうへに くもらぬ月をみるよしもがな」
(願わくは、この世を去ったのち、極楽の蓮の花の上に座して、濁りのない澄み渡った月を仰ぎ見たいものだ)
この辞世の歌を目にした瞬間、胸を突かれました。
どんな人生を歩めば、死の間際にこれほどまでに澄み切った歌を遺せるのだろう――。
居ても立ってもいられなくなり、その歌を詠んだ女性「大田垣蓮月」について調べ始めました。
そこに広がっていたのは、二人の夫と我が子全員を失うという壮絶な悲劇、自ら前歯を折って美貌を捨てた覚悟、そして泥を捏ねて和歌を刻み、幕末の動乱の中で「無私」の愛を貫いた一人の女性の凄絶で温かな生き様でした。
「この女性の存在を、どうしても皆さんに知ってもらいたい」
本当は『傀儡の夜明け』が終わったら少し時間を置き、ゆっくり充電しようと思っていたのです。
しかし、大田垣蓮月という人物に魅了された私の「知ってもらいたい」という欲が勝ってしまいました。
同じ女性として、彼女の生き様を通して何か伝えることはできないだろうか――そんな思いに囚われ、史実をベースに、夢中書き上げてしまったのが本作です。
勢いと衝動に任せて書き進めたため、どこか粗削りな部分もあるかもしれないと反省しております。
ですが、私が彼女の歌に触れた時に感じたあの静かな震えと情熱だけは、確かにこの物語に閉じ込められたと思っております。
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【公開スケジュール】
・7月29日(水):『傀儡の夜明け』完結
・7月30日(木)12:00〜:『くもらぬ月』公開スタート
『傀儡』の余韻も冷めやらぬうちでの公開となりますが、ガラリと雰囲気を変えた、ひとつの「喪失と再生の物語」となっております。
泥の中から立ち上がり、ただ静かに幕末の京を照らした一人の老尼の足跡を、ぜひ見届けていただけたら嬉しいです。
7月30日を、どうぞ楽しみにお待ちください!
細川雅堂