制作メモ
ラヴェルは、水と揺らぎの作曲家だと思っている。
彼は「水を描いた」のではなく、
水の運動そのものを音に変換した。
古代ギリシャの哲学者タレスは、
万物の根源(アルケー)は水だと言った。
形を持たず、しかしすべての形を生むもの。
現代では、その「揺らぎ」を
加速器や検出器によって観測しようとしている。
フランスの企業タレスが、
その最前線に関わっているのも、どこか象徴的だ。
「紫水ゆらぎ」という名前には、
《亡き王女のためのパヴァーヌ》が持つ
薄紫の気配と、
ラヴェルの水と揺らぎの感覚を重ねている。
この連作は、
水が形を変えながら世界を巡る物語でもある。
三つのサイドストーリーで、副題や歌詞が「揺らい」でいるのは、
並行世界だからかもしれない。
——みなとみらいのコスモクロック21の影が水面に揺らいでいるように。
