川崎が異界と繋がってしまったので、探偵として街の平和を護る――そんな物語を作りました。
https://kakuyomu.jp/works/16818093092073682525いわゆる探偵小説というジャンルに足を踏み入れてみたわけですが、特に探偵小説が好きな方や、川崎という街に思い入れがある方にこそ、手に取っていただけたら嬉しいです。川崎という街、単なる地名ではなく、その空気感や日常の中に潜む何気ない特異さが魅力です。私にとって、川崎の「色」を感じられる物語に仕上げたかったので、地元の人たちが読んで「ああ、これが川崎だ」と感じてもらえるようなものを書けたら、作り手として大いに満足すると思っています。
なぜ川崎なのかというと、私は川崎生まれ、川崎育ちだからです。言ってみれば、この街に育まれた人間だからこそ、川崎を舞台にした物語を描けるのだと思います。川崎には他の都市にはない独特の空気があります。例えば、街のざわつきや喧騒、それに時折見せる静けさが入り混じっている感じ。その空気感を、物語の中でどれだけ忠実に表現できるかが一つの目標でした。
物語を作る中で、昔から憧れていた作品がいくつかあります。「探偵物語」や「探偵はバーにいる」など、地域に根ざした探偵が登場する作品に特に強く惹かれていました。こういった作品の魅力は、ただの謎解きや事件解決に留まらず、その土地に息づく風土や文化、人々の感情までもが描かれている点です。探偵が事件を追う過程で、その街の独特な特徴や雰囲気が浮かび上がり、物語に深みを与える。それこそが、私が探偵小説に求めていた最大の魅力でした。だからこそ、自分が探偵物語を作るなら、絶対に川崎を舞台にしたかったのです。
川崎の街の雰囲気、風景、人々の暮らしを物語に落とし込んでいく中で、これは単なる探偵小説にとどまらない、川崎という場所自体が一つのキャラクターとして息づく作品にしたいと考えました。私が育ったこの街をどう表現するか。それがどれほど大きな挑戦であっても、川崎という土地を中心に据えた物語でなければ意味がないと思っています。もちろん、物語としての面白さも求められますが、それと同時に川崎の空気感や人々の温かさ、時には冷たさといった複雑な側面も描きたかったのです。
物語が進行する中で、川崎の街がどのように息づき、登場人物たちと共に物語を形作っていくのか。その過程を描くことが、私にとって一つの挑戦であり、また大きな楽しみでもありました。
結局のところ、物語を進める中で川崎という街の持つ多面性や奥深さが少しでも伝われば、それが私にとって最も嬉しい結果だと感じています。川崎で育った私が感じているこの街の空気感を、読者の皆さんにも少しでも感じてもらえたなら、それが何よりの成果だと考えています。