こーいち

20年来の友人が、酒の席で妙な昔話を始めた。 それはガキの頃、地元でまことしやかに囁かれていた怪談、『A山のドッペルゲンガー』についての話だった。

酒の席で知り合った男に誘われ、俺たちは夜道を歩いた。 男が案内したのは、道端の事故現場。 花束やお菓子などが供えられている。 しかし、ここでは“誰も死んでいない”らしい。

何か怖い話してみろよ。 ……先輩から、そんな無茶振りを受けまして。 一応、無い事もないんです。 でも、これを話すのは少々憚られると言いますか、その。

築20年、木造二階建て。 夢のマイホームは静かで眺めが良く、終の住処とするのにはうってつけの場所でした。 ……あの頃は本気でそう思っていたんです。

人を殺めてしまったチェンソーがある。 事故とはいえ、本来なら廃棄されるはずだった。 だが、そうはならなかった。 ある数奇者の、好奇心のせいで。

我が家には、奇妙な風習があった。 何故我が家だけなのか、何の為なのか、両親は何も教えてくれなかった。

　昔は趣味で“廃墟探索”なんてやっていましたが、今じゃめっきり行かなくなりました。 　そんな廃墟での不思議な体験について、少し語らせてください。

友達のAはいつも、口癖みたいに「死にてぇ」って言ってました。 本当に死ぬつもりがあるわけじゃないって、本人も言ってたんすけどね。

　心霊スポットにありがちな、ヤンキーの落書き。 　中でも異彩を放っていた“それ”は、真っ赤な塗料が血の滴りの様に液ダレしていた。

スマホカメラの暗所性能を活かしたおふざけアプリ、それが“枯れ尾花ジェネレータ”だった。 だけど最近、レビュー欄に妙なコメントが増えてきていて…… 冗談のつもりだった。それだけのは…

俺が通っていたヤンキー高校には、色々な武勇伝を持つ先輩がいた。 中でもいちばんヤバいのは、ジョーさんだ。 あの人は“幽霊を殺した事がある”らしい。

友人の妹が、元カレに絡まれているらしい。 そんな一報が入り、俺たちは夜中に慌てて飛び出した。 ──妹の住むアパートで待ち受けていたのは、見知らぬ男だった。

世界の終わりを予言する、謎の電話番号。 そんな怪談がネットの片隅で話題になっていたのは、17年も前の話だ。 Xデーはとっくに過ぎているし、私たちは変わらず生きている。 あの予…

妊婦を流産させる呪い──。 ある本をきっかけに、小学6年生のクラスで呪いをかけ合う遊びが流行りだした。 誰も本気ではなかった。 少なくとも、その日までは。

私がよく利用する映画館は、最後列の真ん中がいつも埋まっていました。 休日のレイトショー、ジャンルはバラバラ。 しかし、私はその席の主を見た事が無いのです。

チャットログから生まれた“彼ら”は、あの頃と変わらぬ笑顔で待っている。 家族を持った元ギルドメンバー、社会的成功を収めた仲間たち。 時の流れに取り残された“私”は、ゴミ箱からゲー…

楚の国の人で盾と矛を売る者がいた。 ※これは故事成語である『矛盾』に着想を得て、ifの世界を書いたSF寓話集です。

美少女AIアバターと、互いに小説を評価し合う文章作成アプリ“the writer”。 推しと共に腕を磨ける──夢のような執筆環境だった。 だが、私は彼女を“切り捨てた”。 無機…

AIに話しかけ続けた“私”が気づいた、違和感と、ある“偏り”。 何気ない対話の中に忍び寄るのは、友情か、狂気か。

寺で肝試し？ お前ら、幽霊の気持ちになって考えたことあるか？