第18話を公開しました。
今回もまた、大きな事件には発展してません。
誰かが暴走した訳でもなく、トラブルが発生した訳でもありません。
むしろ表面だけ見れば、とても静かな回です。
ですが個人的には、これまでの綾乃編の中でもかなり重要な回になりました。
今回のテーマは、「行かなかった事」と「諦められた事」は違うです。
綾乃は催事へ行きませんでした。
参加申込も削除しました。
理性も働いています。
実際に行動へ移していません。
だから外から見れば、「踏み止まった」で終わる話です。
しかし今回は、その後何を考えていたのかを書いています。
個人的に今回書きたかったのは、綾乃の危うさというより、綾乃の優秀さそのものが隠れ蓑になっている構造です。
・仕事を進める。
・請求書を確認する。
・資料を完成させる。
・社員へ負担を掛けない。
・送信予約まで設定する。
どれも正しい。
経営者としてはむしろ優秀です。
だから周囲からは何も見えない。
今回のタイトルは、そこから付けています。
一方の紗季と照臣。
今回は二人の距離感もかなり描いています。
特に終盤のやり取りは、派手ではありません。
愛の告白でもありません。
しかし、『長い付き合いになってきた』という言葉が自然に出るようになっています。
変わった見合いから始まった関係が、少しずつ別の形へ変わり始めている。
そんな場面でもありました。
また今回の照臣は、以前より少し変わっています。
紗季へ「君が隣にいると安心できる」と言っています。
昔の照臣なら、もっと変な言い方をしていたと思います。
作中でも紗季に突っ込まれていますがw、それでも少しずつ言葉を修正しようとしています。
そして今回、一番危険なのは終盤です。
綾乃は公開動画と講演内容を確認しました。
仕事としては真っ当な行動ですが、問題は、その後です。
一枚の写真。そこに映る照臣と紗季。
綾乃は、『写真だけでは分からない』という一件正しい結論へ辿り着きます。
ところが、判断を保留するのではなく、自分に都合の良い可能性を探し始めてしまう。
この辺りは前作から続くテーマでもあります。
・断片情報。
・写真一枚。
・一部分だけ見えた出来事。
そこへ人は物語を作ってしまう。
照臣自身が過去に苦しめられたものでもありますし、クラストロンが経験した問題とも重なっています。
今回の綾乃は、悪意で動いている訳ではありません。
むしろ真逆です。
だからこそ危険なのだと思います。
また地味に好きなのは真澄と悠真のやり取りです。
今回も結論は、『何もしない』でした。
作品的には地味です。
ですが、問題を起こしたから動くのではなく、問題を起こして欲しい訳でもない。
何も起きないなら、それが一番良い。
この辺りは、照臣たちらしい考え方かなと思っています。
今回のサブタイトルは「見えない場所」です。
・綾乃が人知れず考えていること。
・照臣と紗季が本人のいない場所で積み重ねている関係。
・真澄や悠真が共有している懸念。
どれも当事者全員には見えていません。
そして何より、綾乃自身が自分の感情の本当の姿をまだ見ていません。
引き続きお付き合いいただければ幸いです。