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清継様に、冬の花火を ――明治壱拾七年太政官布告第参弐號――

――次の夏まで、待てないかもしれない。




 大正十年、冬の帝都。

 病弱な旧家の若主人・花房清継のもとで、長年仕えてきた深見静馬には、誰にも明かしていない計画があった。

 夏の花火を見られなかった清継のために、冬の海へ花火を上げること。

 ただ、それだけだった。

 ところが静馬が花火師へ手紙を送り、金を動かし、夜ごと海辺へ通い始めた頃、彼の背後に帝都警察の影が現れる。

 清継から依頼を受け、静馬を追うことになった軍探偵《紅椿》が見つけたのは、火薬、秘密の書簡、古い写真、そして一つの窓へ向けて引かれた海上の線だった。

 恋人に花火を見せたい。

 そんな願いを証明するために、いったい何枚の紙が必要なのか。

 やがて警察が踏み込み、静馬が連行されようとしたそのとき、《紅椿》は机いっぱいの資料を抱えて前へ出る。

「彼ではなく、私が」

 そして。



「今から、私が説明します」



 これは、次の夏を約束できない二人が、
 

今夜だけは確かに一緒にいるための、冬花火の物語。

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