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  • 現代ファンタジー

ビビ俺、死神ワークス。第17話、冒頭ガチ掴みへ!

 ――私じゃない。



 そう思ったのは、“口が動いてから”だった。



 「……違う」



 声が出る。

 でも、その言葉を選んだ覚えがない。



 「……それ、私じゃない」



 静かな部屋。

 誰もいないはずなのに、

 返事がある。



 『知ってる』



 アマネの喉が、わずかに震える。



 「……誰」



 問いかける。

 でも、次に返ってきたのは――



 『お前だ』



 一瞬。

 視界が“ズレる”。



 壁の位置が、違う。

 机の高さが、違う。



 いや。



 見てる位置が違う。



 「……っ」



 息が詰まる。

 足が、半歩ずれている。



 動かした覚えはない。



 それでも。



 確かに、“もう一人分”の感覚がある。



 右。

 左。



 どちらでもない。



 内側。



 『ほら』



 声が近づく。



 『もう使える』



 その瞬間。



 アマネの指先が、勝手に動いた。



 空気が震える。



 見えない圧が、じわりと広がる。



 「……やめて」



 止めたい。

 止められない。



 『いいだろ』



 声が、重なる。



 『一回くらい』
 『どうせやる』
 『壊せ』



 増える。



 「……やめてッ!」



 ――バンッ!!



 空間が、弾けた。



 壁にかけてあったものが、まとめて吹き飛ぶ。



 静寂。



 そして。



 残ったのは、



 荒い呼吸と。



 “誰のものでもない余韻”。





 「……今の、なに」



 自分の声が、

 少しだけ、遠い。
「そ、それ私じゃない」
               松下 拓でした。

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