『この手があなたに触れるまで』の制作秘話になりますが、実はこの作品、元々は中川清の日記形式で書き始める予定でした。
今こうして群像劇として物語が形作られているのは、彼という存在がそれだけ物語の核にいたからこそだと思っています。
真面目で頭が良く、誰に対しても優しいお人好し。
奔放な慎一郎や、猪突猛進な佐竹といった個性豊かな面々の世話を焼き、時に頭を抱えながらも彼らを支える、まさに「保護者ポジション」です。
和彦とウマが合うのも、彼が持つその誠実さと、どこか大人びた苦労人の視点があるからこそでしょう。
清を描く上で面白いのは、彼の冷静さと、時折見せる意外な一面です。
本編では常に周りを冷静に見つめ、調和を保とうと心を砕いていますが、『碧水の刻編』ではそんな彼も時折ふっと息を抜いて、仲間たちと一緒に暴走してしまったり。
そういう「人間味のある綻び」が見える瞬間こそ、清という人物の最大の魅力だと思っています。
彼は、常に誰かのために心を配り、自らの苦労をあえて口にしない強さがあります。
でも、そんな彼だからこそ、清にも報われてほしい、幸せであってほしいと願わずにはいられません。
清は、この物語の最初の一歩であり、今も物語を静かに支え続けている、私にとっても非常に大切なキャラクターです。
清の視点を通すことで、物語の景色がどう変わるか。ぜひこれからも彼と共に物語を見守ってください。