夏の始まり…外を出ると余計なほど快晴で、熱が空から落ちてきて身体中を熱らせ、何もせずにいても全身が汗まみれになり、何処か日陰はないか、涼しい場所はないか探そうとしてオロオロする…。
一年を通して、咥えタバコで筆を走らせる。ある時にはそこらのコンビニで買える一般的な国産紙巻きタバコを、またある時にはキューバの豊かな大地で一流の職人が丹念に手で巻いたのち大海原を渡って我が手元にやってきた最高の葉巻を…。
文章が、まだ実態を持っていない文章が頭の中を駆ける。夏の大雨で発生した洪水の濁流のように、思考のアルゴリズムの林の中で上下左右へと移ろい、私は密室の中でタバコの煙を纏いながらその時を、理想的な一節が何ものとも似ていない産声をあげながら誕生する好機を待ち焦がれ、ようやくひと段落ぶんを書き終えた…
今やタバコの火は消えて灰皿には燃え尽きたものが小さな丘になり、傍に添えられていたマグカップの中のコーヒーは飲み干されていた。余暇はまもなく黄昏れになる。重い腰を上げて人混みの熱気の中へ、歯痒いほどの日常の中へ帰られなければならない。少なくとも、私はさっき苦心してひとつの文を書けたはずだ。それを、いったいいつまで続けられるか…
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★20 異世界ファンタジー 完結済 11話 91,420文字 2024年3月14日 17:47 更新
歴史のif第10回角川文庫キャラクター小説大賞第10回キャラ大賞カクヨムテーマ賞青春ホラー異能女性視点愛されてるのは私じゃない
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