暑い! 8月になってから途端に暑くなりすぎだよ地球! 先週までは長雨で肌寒くて上着を羽織っていたなんて信じられない。日差しとともに急にセミも鳴き始め、なにやらタイムスリップでもしてしまったのだろうか。それならいっそ夏の終りまで時間跳躍してほしい。早くも冷房の効いた室内でのコールドスリープを決め込んでおります。買い物も暇つぶしもすべてネットで済ませられる。いい時代になったものです。涼しい室内で熱いコーヒーと冷たいチョコミントアイスを食べながらのネット鑑賞がやめられません。これが私の「新しい生活様式」だ!
突如として宇宙空間に放り出された主人公・石田が、謎のナビゲーターに導かれ、神様として新しい惑星を創造して、そこで生まれた生命たちが築きあげていく惑星史が興味深いです。
天地を創造し、海の中から原始生命体が発生し、生命は進化し海から陸へと上がり、星は命で満ちていく。生命の進化を促すきっかけは、まさに神様である石田のさじ加減ひとつ。外敵が多かったり、食べ物がなかったり、環境が厳しいと絶滅してしまうが、安定した環境も進化を停滞させてしまう。遺伝子を組み替えたり、棲家を移したり、数億年もの歳月をかけた試行錯誤の末、ついに知性が芽生えた新人類を誕生させた石田の感動もひとしお。
しかし新人類たちは後先を考えずに自滅しかけたり、旧種族を全滅させようとしたり、ついには同族で争いを始めたりと自分勝手な行動ばかり。それが生物に備わった自然淘汰の本能だとしても、手間暇をかけて生み出した生物が不毛な争いばかりしているのでは、石田でなくてもガッカリしてしまうだろう。
現実世界の神様も今の私たちを見て失望しているのかもしれない。石田の手を離れ、文明を築き始めた人類がどんな歴史を紡いでいくのか注視したい。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=愛咲優詩)
映画よりも映画館好きな男子高校生・市川新太郎が、悪名高いヤンキー少女・英詩子と偶然にも映画館で隣り合わせたことから始まる、映画館マニア同士の交流が微笑ましかったです。
映画館というのは特別な場所です。カップル客や家族連れ、友人連れ……見ず知らずの他人が集まって一緒にスクリーンを見つめる一体感。上映前のワクワクと胸が高鳴る期待感。映画館で食べるポップコーンとコーラの美味しさ。奥深い物語と映像美に心を奪われる陶酔感。エンドロールで余韻を味わい、シアターを出たときのフワフワとして地に足がつかない夢見心地の感覚。
映画館マニアの二人の映画館の楽しみ方に思わず共感してしまいます。現代は宅配レンタルやネット配信など自宅で映画を楽しむ方法も増えましたが、それでは味わえない劇場鑑賞の魅力を再認識させてくれる。
そして次第に映画よりも隣に座っている詩子を意識してしまう新太郎の初々しさにニヤニヤしてしまいます。二人の関係がどうなっていくのか見守りたい。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=愛咲優詩)
摂津国渡辺津で生まれ育った武家の少年・渡辺切(セツ)が、蒸気機関で発展する平安京に蠢く妖魔退治に繰り出すスチームパンク伝奇アクションです。
妖魔を封じた呪具が宝物殿から盗み出された! 呪具蒐集を命じられたセツは、陰陽師の賀茂道世と共に人外の妖魔たちが引き起こす騒動に巻き込まれていくのですが、セツは妖魔相手に太刀一本で圧倒する天賦の才の持ち主で、周囲を唖然とさせながら繰り広げる大立ち回りが痛快です。
京の都では蒸気を噴き出す塔が立ち並び、海や川には蒸気船、洛中には汽車が走り、機巧仕掛けの蜘蛛や牛、甲冑で武装した武士たちが闊歩する。そんな都を奇々怪々な怪異が跋扈し世の中の平穏を乱す。舞台として描かれる京の情景が古臭さを感じさせず、とにかく斬新!
平安時代にスチームパンクで妖怪退治という一見ミスマッチな組み合わせに思えますが、歴史小説と空想科学SFを違和感なく融合させた作者の構成力が見事です。
都に呪具をばら撒き怪異騒動の影で暗躍する者たちの目的はいったいなんなのか。歴史好きやSF好きだけでなく、バトルものが好きという読者にもオススメです。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=愛咲優詩)
昔から猫は船の守り神と崇められている。どんな船にも一匹は宿っていて航海の安全を守っているのが猫神様だ。最新鋭のミサイル搭載護衛艦「みむろ」でもそれは同じ。若手自衛官の波多野が出会った猫神様「猫大佐」も迷い込んでくる悪霊を払ってくれている。
そんな猫大佐は、見た目は可愛らしいが、口も態度もとにかくでかい。波多野を小僧扱いして、彼のベッドを勝手に寝床にしたり、艦長席を定位置にしていたりと傍若無人だが、そんな気位の高さも猫らしくて愛らしい。
猫大佐と世話役の幽霊・相波大尉が見える波多野には不思議な出来事が次々と起こり始める。悪霊退治の後始末で艦内の大掃除になったり、霧の中で旧海軍の幽霊船を目撃したり、真夜中の海で海の神様と遭遇したりと、海の上での非日常が好奇心をくすぐる。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=愛咲優詩)