今回はクリスマスということで、「クリスマス × あなたが考えるクリスマスともっとも縁遠いもの」というちょっと意地悪なテーマで募集をしてみました。軽い気持ちでテーマを決めたはいいものの、結構書くのが難しい内容になってしまったのではあとから不安になっていたのですが、こちらの予想以上に多くの作品が寄せられ、そのどれもが個性的で、作品を読んでいて大変楽しい時間を過ごすことができました。その中でも個人的に印象に残った5作品を紹介させていただきます。それでは皆様メリークリスマス!

ピックアップ

季節外れの海水パンツが意味するメッセージは……

  • ★★★ Excellent!!!

クリスマスになるとデパートの中に突然現れる濡れた海水パンツ、というどこかシュールでどこか不気味なアイテムが非常にユニークで、一気に惹きつけられました。
さらにその後に出てくる「彼女はもう二十年間、三十四歳なのだ」という一人の主婦によって、物語に対する興味はますます駆り立てられます。

この季節外れの海水パンツと時が止まったままの主婦という、クリスマスとは本当に縁遠い異色の存在を組み合わせ、見事なクリスマスストーリーに仕上げている点がお見事です。

今回の企画は、「クリスマス」と「クリスマスと縁遠いもの」という正反対な二つの題材のバランスをどう取るかが非常に難しい内容だったのですが、本作はこの二つを見事に両立させている点がお見事でした。

(クリスマス×あなたが考えるクリスマスともっとも縁遠いもの/文=柿崎 憲)

クリスマスの主役はたった一日で舞台を降りる

  • ★★★ Excellent!!!

今回の企画では作品の内容だけではなく、「クリスマスと縁遠いもの」というお題に対してどのような答えが来るのかも期待していたのですが、本作で出てきたのは「12月26日」という座布団を上げたくなるような見事な答え。

その見事な答えとは裏腹に、話の内容はぞっとするようなホラー。
本作はクリスマスの翌日にクリスマスツリーになってしまった少年が主人公。たった一日過ぎただけで主役から季節外れの存在になってしまうクリスマスツリーを待つ運命とは?

残酷な展開をキリっと締めるラストの一文が強烈な作品です。

(クリスマス×あなたが考えるクリスマスともっとも縁遠いもの/文=柿崎 憲)

可愛らしい微生物は聖夜に魔物と化す

  • ★★★ Excellent!!!

ボルボックスという名の緑の微生物。丸っこくて愛らしく、見ようによってはクリスマスの飾りつけに見えないこともない。
本作はそんなボルボックスを愛する男性が主人公。

クリスマス・イヴの夜にもかかわらず、ボルボックスの研究を続ける男。
そんな彼が聖夜に目にするボルボックスの変化とは?

クリスマスの夜に突如現れる怪物という、ある種のモンスターパニック作品なのですが、本作ではボルボックスの生態や見た目を巧みにストーリーに組み合わせて、ボルボックスとクリスマスならではという独自の物語を作り上げており、短い文字数の制限の中で見事に起承転結を決めた短編に仕上がっています。

(クリスマス×あなたが考えるクリスマスともっとも縁遠いもの/文=柿崎 憲)