公園を横切る買い物帰りの主人公が、夜の公園でうずくまる男に出会う。
そこから始まる奇妙な物語。
うずくまる男は探している。
耳栓のような形をしている石。
〝フタイシ〟と呼ぶソレを。
主人公が聞かされる石を探している理由は、ありきたりだ。
浮気を疑う恋人、痴話喧嘩、落とし物──
男が気軽に語る日常は、しかし違和感がある。
男の言葉は、戯れ言か?
または、ただの妄想か?
判然としないなかで、話はさらに奇妙な方向へ向かい、恐怖は、じわじわと広がる。
やがて男は主人公へも妙な要求を始めた。
男の妄言としか思えない言葉。
しかし聞く言葉が重なると、そこには恐ろしい仮説としての〝文化〟が感じられてくる。
果たして、男の話は妄言なのか。
それともどこかに実在する風習なのか。
読む者へ奇妙な説得力を与えながら、そして物語は最後の数行へと続く。
さらなる恐怖の数行へと繋がる。
人倫を踏みにじる異文化の嫌悪。
そんな奇異な欲望を人が持ちうるかもしれない恐怖。
あり得たかもしれない現実の肌触りを感じられる優れた短編。
是非とも、御一読されたし。