幼馴染

 『幼馴染』っていうのは幼い時から今現在まで何かしらの関係がある場合にのみ使う言葉か。だとすると私に『幼馴染』はいない。小学校上がる前に引っ越したので、そういった関係の人物がひとりもいない。

 幼い頃(それこそ小学校上がる前)に知り合って、以来関係断絶、高校で再度知り合う、という場合、この相手は『幼馴染』と呼ぶだろうか?

 少し変な感じがするけれども、そういった相手であればいる。

 ある時、高校から最寄りの駅で電車を待っていた。授業出る必要がなくなったので、早めに帰ることにしたのだ。田舎中の田舎である電車の時刻表は完全に狂っていて、一時間に一本程度しかない。


「りっちゃん?」

「……は?」


 周囲を見回したが、明らかに私しかいなかったし、彼女はしっかりとこちらを見ていた。何よりその名前で呼ぶ人なんて限られている。


「かおちゃん?」

「そうだよ! 久しぶりだね!」


 慌てて吸っていた煙草を掻き消した。


「いいよ、消さなくても」


 淡い記憶を一つ。

 幼稚園児だった私が転んで膝から血を出して泣いていたところ、かおりちゃんはその患部を舐めた。


「こうやると早く治るよ」


 って。

 それが原因で彼女は私の『眷族』となり……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る