やってしまった

 二度目の高校一年生の時。私は陸上競技が得意で、特に幅跳びはものすごく自信があった。

 幅跳び、全力でジャンプ。キマった。


「7m20cmです」


 全員が沸いた。女子もこちらを見ていた。7m20cmというのは『インターハイ』の記録と並ぶ数値だった。飛んでしまった。……やってしまった。


「玄、お前陸上部に入れ」


 体育教師が言った。多少は興味があった。けれども問題は、私が二度目の高校生をやっているから、どういった扱いになるのかわからなかった。誰にもわからなかった。


「……遠慮させていただきます」


 次、110mハードル。


「14秒!」


 これもまたインターハイレベルの速さだった。ぴょんぴょんするのが得意だったんだ。忍者に憧れていたから。……やってしまった。


「玄、陸上部入れ」


 またそれ……


「すいません、入りません……」


 きっと、ややこしいことになってしまうだろうから、気持ちは嬉しかったが、断った。もし入っていたら、インターハイ幅跳びで個人戦優勝という可能性があった。練習すればもっと伸びるだろうから。


 もし……と、私は後悔する。少しの勇気があったのならば。



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