弦切れた

 十七歳の頃から定期的にライブハウスに出演するようになり、また、様々なバンドでのヘルプなどにも参加した。であるからなんだかんだで少なくとも月に二回は出演していた。それが二十七歳くらいの時まで、およそ十年間続いていた。我ながら大したものだと思う。

 メインのバンドであるベースの勇太は早世したが、その話は今度しようと思う。

 さて、あるライブの最中のことだ。


「おい勇太」

「ん?」

「弦切れた」

「ん? ああ」


 そのように伝えたのだが、いまいち伝わっていなかったようで、勇太は次の曲へと進もうとする。MCは全て任せていたのだ。


「じゃあ次行く?」

「おいおい、何言ってんだよ。ちょっと待てって、弦切れた」

「お、おう」


 妙な空気が流れる。なんだろうこの空気は。


「……じゃあ次の曲」

「お い !」

「……?」

「げ ん き れ た !」

「だからなんなんだよさっきから! 元気だって言ってるじゃん! だいたい俺はいつも元気だって!」

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