駄弁R
「しかし終わらなかった!」
「駄弁だからしょうがない。のか?」
「問題。一文目の人は禿げとデブのどっちでしょうか?」
「寝ぐせと髭だろ」
「正解は店長でした」
「髭だろ」
「つまんないのはこれくらいにしておけって」
「お前が始めた物語だろ」
「はい\(^o^)/」
コーラ20杯目。
「で。なんだよ」
「気づいちまったんだ」
「なにが」
「気づいちまった」
「なにが」
「これっていちいち何が?って言わせる必要ある?」
「無い」
「人間って気持ち悪い生き物だよな」
「あー?」
「だから暗い話のほうが面白いのでは?」
「うん。詳しく」
「ウソで暗い話は冒涜的だっていったけど。人間はそういうもんだと。結局は勧善懲悪だったり、誰かが苦しむ話が好き。理由なんか理不尽であればあるほどいい。納得出来ないほうが魅力的」
「というと?」
「たとえばあの美人の店員が人食いだったらおもしろそう」
「グロイって」
「喰らい? cry 暗い?」
「つまんな」
「じゃあいいよ。見てろ」
――フリーター26歳。何となく生きていた髭は恋をしていた。ファミレスの店員の美人さんにである。彼女の笑みが、作り笑いがとても好きだった。店員としての愛層のいいところに惹かれた。そのうち、本当の彼女を知りたくなった。恋。恋!
髭は決心した。
店長によると今日が彼女の誕生日らしい。髭は花束を持ってファミレスへ行った。深夜の静かな店である。
「はい。注文は」
「美人さん」
「はい?」
「あなたが欲しい」花束どさっ。
「うふふ。ありがとう! 私もよ!」
「やったー!」
「よ、よければこの後、家に来ませんか。せっかくの誕生日に、一人じゃ」もじもじ。
「やったー!」
流れるままに髭は美人の家へ上がり込んだ。朝明りの青いワンルーム。がしゃり。扉が閉じた。
「まさかここまでうまく行くとは」
そう言ったのは髭ではない。なぜなら髭の背中には注射器が。髭は膝から崩れ落ちていく。
「誕生日にはごちそうを」
そう言いながら美人は髭の残骸へ花を一つ刺した。外を通る小学生の笑い声は悪魔を祝福するようだった――終。
「……というのは?」
「というのは?じゃないだろ。何言ってんだお前」
「あ――冷蔵庫にある髭の顔は笑っていた。隣りの男とは違って――も追加で」
「ホラーなの? ホラーなの?」
「ラブコメ?」
「R18なのに?」
「グロ系ラブコメ。悪魔崇拝者はぜひ」
「ターゲット層が過激すぎる」
「ダメか」
「ダメだろ」
「じゃあどんなロマンスが良いんだよ」
「なんでそうなる」
「小説は妄想でもある。こうなったら良いとかそういうのって明るくない?」
「だったら美人さんと普通に付き合ってエッチして結婚してエッチして子供つくってエッチして幸せに暮らしたい。あと美人さんの手料理とか食べたい」
「うーん。つまんない」
「平和だし。明るいだろ」
「まぁそうだけど。なんか普通過ぎね?」
「カニバリズムよりはマシ」
「少し暗くしろよ」
「うーん。じゃあ実は未亡人とか?」
「弱い」
「加えて子供がいる」
「弱いというか重い。なんかリアルで嫌だ」
「お前の好みだろ」
「却下。べつの」
「元アイドル?」
「なにそれ。意味わかんね。続けろ」
「スキャンダルした元アイドル」
「狂ってんな。どんなスキャンダル?」
「それこそ恋愛とか。どうせ足りないって言うんだろ。何股もしてたとか?」
「なんか推しの子みたい。パクリは厳禁」
「文句ばっかりだ。じゃあどうしろと」
「スキャンダルはエプスタインにしよう」
「アウト」
人身売買。ダメ絶対。
「過激にすればいいってもんじゃないだろ」
「明るさってのは相対的なんだよ。暗い話があるからハッピーエンドは輝く」
「さっきからグロイんだよな」
「社会的と言いたまえ」
「うーん」
「アイドルはやめよう」
「なんにするのさ」
「ジャニーとか?」
「アウト」
「仲居とか?」
「アウト」
「草彅(くさなぎ)とか?」
「全裸? 適当に言ってんな。アウトだろ。なんだ。全裸になりたがるヒロインって。しかも未亡人だろ。狂ってる」
「僕は一向に構わん」
「エッチなことしたいだけだろ」
「できれば良くないですか?」
「ダメです」
「文句ばかり言う」
センシティブマシンガン。
「暗い話か。重い話なら分かる。何か悩みがあるとか。境遇ゆえの。それをどう扱うのかを、どういう風に絡めたりするのか。答えを出すのか」
「ライトノベルじゃなくない?」
「お前のはR18だろ」
「カニバリズムと恋愛ってだいぶ哲学的では?」
「アウトだけどな」
「なんだよ! 結局はエッチなことして快楽に溺れてすべて忘れちまえばいいってか! 退廃的!」
「そんなこと一度も言ってないが」
「主人公が金持ちで不幸な女を抱いて満足させて救っていく。なにそれ」
「自分で妄想してる」
「案外悪くないのでは? 野性的」
「今日もうダメかもな。コーラで酔っぱらってやがる」
「糖尿病だろ」
「なめんな」
「てへぺろ」
人類の敵。糖尿病と尿結石。運動しよう。運動すると幸福なうんたらが分泌され(ry
「恋愛恋愛って言うけどさ。結局はエッチしたいかそうじゃないかなんだよ」
「そうかな?」
「そうだよ。ラノベのヒロインでブスな奴いないだろ。男はどこまで行ってもエッチなんだよ。認めようぜ。問題はどうやってあの美人を落すかだ」
「そんな話してないぞ」
「ここは生物学的と統計学からどういうアプローチがいいかを――」
「そこに愛はあるんか?」
「確実な恋愛こそ将来がある。相手のことを想うとは計算だ」
「気持ちだろ」
「一理ある。安心しろ。コンドームはつけない」
「つけろ」
「思うんだ。ラノベにしたってギャルゲーにしたって主人公のライバルがほとんどいない。男にとって恋愛とは性欲であり、闘争であるのにだ。その世界に男が一人しかいないんじゃ、絶対に勝てるならなんの意味も無い」
「一理ある。今みたいに計算で女を落そうとする男と、気持ちで落とそうとする男。対照的であり、テーマ性がある。ドラマができる」
「そうだろ。じゃなかったら角でぶつかった瞬間にエッチすればいい」
「極端」
「そのまま一夫多妻で」
「どんだけ好きなんだよそれ」
「少子高齢化の解決」
「話を戻す。でもヒロインが一人だけじゃ、良くない。ヒロインが神格化されすぎる。リアリティが無さすぎる」
「そうだな。三角関係ならぬ、四、五、十五六角形関係くらいあってもいい。人が増えるほど絡みも増えるし」
「さすがに多いって。とりあえずヒロインともう一人。ここも真逆なキャラにしよう」
「メインヒロインを大人びた美人先輩。もう一人を元気な後輩ヒロイン。ついでに幼馴染正統派ヒロインを付けたして。こいつは絶対に失恋して悪い男に引っかかって不幸になる。でもって将来、主人公が苦労しているときに不倫して泥沼化する。最終的に美人先輩が主人公と幼馴染をカニバリズムして終わり」
「トリコってるぞ」
「いつの間に。でも正直、将来編のほうが面白そうじゃね?」
「R18か深夜枠なんだよな」
「大丈夫だ。最近の中高生は大人のドロドロしている関係でも勃つ」
「勃たねえよ」
恋愛の話をしているのにセックスが入らないなんてありえなくない? 遺産相続? 夫婦別姓? なるほど。結局、重いじゃねえか。子供が実はトランスでした? 重いわ。
「高名高校には理科部がある。そこの新入生がある日、言った。女子のパンツの色と性格の因果関係を突き止めるべきだと。理科部は進む、パンツの正体を掴むため!っていうのは?」
「ラブコメどこいった?」
「ラブコメは俺たちの心の奥にいつだってある。面白そうでは?」
「馬鹿だろ」
「コメディとはこういうものだ。理科部の部長は女子にしよう」
「なんで」
「ギャップ?」
「適当じゃねえか」
「しかもノーパンだ」
「アウト」
「ついでに校長は女性用のパンツ履いてることにしよう」
「知らないけど。キモイ」
「インドとかのホテル言ったときに間違えたんだろうね」
「どこの校長だそれ」
「高校生は校長から平均値の不完全さを知るのさ。色んな悪い人が平均値って言って騙そうとするから気を付けようね♡」
気づいたら3200文字も書いてた。ここまで読んでいる人いたらオチをください(懇願)。
「オチは?」
「偉い人に任せる。言っただろ。小説なんか駄弁だって」
「やっぱり重い話のほうが有意義な気がしちゃうな」
「人間は快楽の獣でしかないのさ」
――終わり。世界一無駄な時間でしたね!
小説駄弁 すいすい / 霜惣吹翠 @ritu7869
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