第8話 木刀、強すぎる

 冒険者ギルドの依頼掲示板は思ったより賑やかだった。

 大吉は掲示板を眺めた。キオが肩の上から一緒に眺めている。


「どれがいい」

「ニク」

「依頼の話だ」

「ニク トレル ヤツ」


 大吉は魔物討伐の依頼を一枚抜いた。森のゴブリン退治、初心者向けと書いてある。報酬は銅貨数枚。


「まあ最初はこんなもんか」

「ウン」

   *

 森に入るとすぐゴブリンが出た。三匹。大吉を見てにやにやしている。ジャージの男を舐めているらしい。


「…来たな」


 一匹目が飛びかかってきた。

 大吉は木刀を一振りした。

 ゴブリンが吹き飛んだ。岩に激突して動かなくなった。

 二匹目、三匹目が固まった。


「…」


 大吉も少し固まった。


「ツヨ」

「俺もそう思う」


 残りの二匹は逃げた。


「アッサリシテタ」

「木刀のおかげだ」


 大吉は木刀を見た。木刀は木刀だった。どう見ても木刀だった。

   *

 ギルドに戻ると受付の女性が目を丸くした。


「も、もう終わったんですか」

「終わりました」

「はや…」


 背後でまたざわざわし始めた。


「あいつ木刀であの早さか」

「いや木刀だぞ?」

「なんだあの木刀」


 大吉は報酬を受け取って振り返らずに出た。


「ニンキモノ」

「うるさい」

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