可憐な妖精種の少女アリスの視点を通して描かれる、故郷を追われた民族の悲劇と、逃亡の果てに築かれた新たな秩序。叙情的な回想と、これからはじまる学園生活への予感が交錯する、密度の高いプロローグ、
「東の野蛮な原種」という未知の脅威によって、歌と楽器の平穏な日々が「血の通わない」政治の世界へと変貌していく過程が、アリスの瞳を通して切なく描かれています。
かつては村の有力者だった父が、西への逃避行の中で略奪すら厭わぬ「血の通わない男」へと変貌していく悲哀。
アリスを学院へ送る判断が、彼女を汚れ仕事から遠ざけたい慈愛なのか、あるいは駒としての教育なのか。
父娘の埋まらない距離感が物語に深みを与えています。