第18話 学術的にスタンダード


 シリウスは王宮で話したことをちゃんと学園長に報告書として提出したので、学園長から教会にも連絡が行き、愉悦の神が学園で人間観察実施中ということが学園と教会内で周知された。

 知らぬはマリア嬢とその取り巻きくらいである。


 取り巻き神官については、一応説明はされたが何を思ったか『神に選ばれた魂を持つ女性』という解釈をしたようで、それはそうだけど違うと説得を試みたが無駄だった。

 それから一応マリア嬢にもマナーの大事さと聖女の仕事を再度説明したが、理解しているか怪しく、説明した指導係りの先輩聖女は『信仰の敗北です』と、指導を諦めた。


 因みに親である男爵は報告がまともに伝わらないので放置されているが、男爵個人としては、卒業しなければ貴族として認められない学園にお金がないから通わせてやることが出来ないと諦めず、娘を教会預かりの聖女候補にしてでも学園に通わせあげたいという親心を持ったお人好しなだけでマリア嬢を使っての成り上がりなどは考えてない。


 そして、王子達なのだが、時期的に彼等は反抗期なのだ。親に言われたら余計に反発し従いたくない病が出たようで、恋愛脳も相まって親の心子知らずとは正にこのこと、まったく反省してなかった。むしろ益々燃え上がった。



 恋によって頭がアッパラパーなんだろうなぁと、シリウスは思い、この際だから彼等の生態観察記録を論文風にまとめて発表しようと、本格的に記録を取り始めた。


 題して『脳内ホルモン分泌による勘違い反応から起こる理性的判断能力の低下現象』である。


 先ずは学園内に設置されている防犯設備から映像や音声をトリミングして、時系列で並べる。

 その後は元々の評価や評判、人柄等を調べる為に………王宮の防犯設備や各ご家庭の防犯設備から同じようにトリミングして並べる。

 因みに王宮等の記録は、人間性把握の為に使うので、外には出さない。というよりシリウスだってバレたら怒られることくらいわかっている。


 後はついでに精霊達にも協力を要請し、彼等の独り言だったり、悩みだったりを記録していった。まぁシリウスからしてみれば若者らしいことで悩んでるなぁで終わるくらいのことではあるが、それぞれ悩みがあったことはわかった。


 虐待からの追放からの成り上がりをこなしてきたシリウスには理解出来ない平和的な悩みではあったが、客観的に分析することは可能である。

 シリウスは、たとえ今回のことが後々彼等の黒歴史になろうとも完成させて発表まで行う所存なのである。


 この世界、カウンセリング等の心の動きに関する分野が、他と比べて進んでいないので、これは良い資料になるんじゃないかとシリウスは考えているが、関係者達にとっては鬼の所業であることは理解していない。


 結果、完成した論文は学園長に「被験者のプライバシーに配慮してないから却下です」と突き返されたが、名前を伏せ、爵位等も伏せて書き直すとオーケーが出た。


 この部下にしてこの上司ありである。

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