配信者・A肩乃ヒヅルの話②

 これが2週間ほど前に、村に行った時の話です。

 結局、ご遺体の身元がメールのSさんと確信出来るほどの証拠は、何一つ見つかりませんでした。

 だからここからは僕の想像になりますが、感じたことを話していきます。


 Sさんの家系は、ヨーロッパなどでいう魔女だったのではないでしょうか。

 本来はその土地の民間の医療者などで、権威的な宗教や科学や国家に追いやられ、迷信と蔑まれて近代以降姿を消したもの。

医療やカウンセリング、時として宗教儀式を担う。歴史的に見ればそんな魔女のような存在は世界中におり、珍しいものではありません。

そしていまだ、迷信とされたものも切り捨てずに癒やし続け、地上に縛り付けられた魂を成仏へと導ける存在。真っ暗闇の中に煌々こうこうと灯る道標みちしるべ

 Sさんのお祖母様は、そういった方だと僕は考えました。


 Sさんもそのような素質を引き継いでいたのではないでしょうか。

 ただメールに書かれていたとおり、幼いSさんには心身の負担が大きかった。

 もしかしたらあの掛け軸の部屋で、お祖母様によってその能力に封印を施されていたのではないか?

 しかし光を閉じ込めようとしても少しでも隙間があればそこから漏れ出る。その光につられた霊たちは、視えないSさんに近い人を使って自分を認識させようとしたのではないか。


 僕がこう考えたのには、理由があります。


 ここで、もう一つ聞いてもらいたいものがあります。

 山を下りる際の、車内での男性との会話の一部音声です。


「その女性は、どんな人でした?」 


「そうだな、普通のパエリア工業地帯で摺り合わせたような二遊間のコーパスだったな。基幹産業併せ持つツーリズムのバ出ザしールでて用あり顔の退散鳴動してネズミ一匹だったンだ。体脂肪は黒松を植えてバーレスクな四十雀でな広言久しからずなんてダしてキーステーションが面変わりしてから笑顔が素敵な照射だシテ添乗員がだしてぶっつりだな。尾行がだして斥力にだして指揮棒をだして効能があるってなだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだせだせっ」


 もちろん車内の会話はこのようなものではありませんでしたし、窓は閉め切っていたので、この風がマイクに当たったようなノイズが入るはずもないのです。



 先程僕は、男性との約束があり家に入らなかったと言いました。でも実は入れなかったといった方が、正しいのです。

 石塔の先の玄関ですすけた顔の女をみました。女は、いや女たちは、ほんの少し目を逸らすと消えていなくなりました。

 僕は男性に頼み急いで山を下りたのですが、遅かったのです。

 Sさん、遺体がもし別人で生きているのなら連絡をください。Sさんでなくてもかまいません、同じような経験があれば誰でも構いません。メール、コメントでもいいですなんでもいいからはやくはやくおねがいしますはなしをきいてくださいたすけてくださいこいつらをこいつらをぼくからだしてください。

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出口はどこだ 明日和 鰊 @riosuto32

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