第2話 二度目

 疲れが取れていない。昨日のことを思い出して目を瞑っても寝ることができない。

 ボーッとしていたら外が段々明るくなっていきスマホの画面をみる。時間が6:40になっていた。

 ダラダラしながらリビングに向かう。お母さんと目が合う。寝落ち前のあの言葉が気になり訊いてみる。

 「俺が寝落ちする前になんて言おうとしたの?」

 「あんたが寝る前とか知らないよ。別に話すことなんてなかったから。」

 しらばっくれた事に腹が立ち機嫌が悪くなり、ご飯を食べずに学校に向かう。


 学校に行ったところでいつも通り。楽しみなんて何一つない。

 早足で学校に向かう途中あの黒猫を見つけた。車道の端で毛づくろいをしていると自転車が来て轢かれそうになる。頭よりも体が先に動いて猫を抱きかかえて助けた。

 猫の目を見ないように安全な場所まで連れていくと「ミャー」と鳴いて家の塀を登っていった。


 事故現場を横目で見るけど花束や事故の痕がなくなっている。この世は残酷で冷たい世界なんだなと思い学校の校門まで来た。


 靴箱に靴を入れ上履きに履き替える。

 教室のドアを開けると、「おはよー」と明るく聞き馴染みのある声が聞こえた。俯いた顔を上げたら死んだはずの葉瑠の姿が。

 クラス中に聞こえるように「おはよ!」と震えた声で返しす。

 朝の会では涙を堪えるのに必死だった。


 葉瑠の事でいっぱいになっていたけれど昨日と同じ時間割だった…。


 眠い目を擦って葉瑠と帰る。

 「この道は危ないから別の道から帰ろう」と誘ったが拒否された。


 問題の横断歩道。

 葉瑠が車道に向かって走り出す。手首を掴み止めたけど振りほどされた。

 その一瞬、振り返って手を伸ばしてきた気がした。


 自分も手を伸ばそうとしたら目の前で葉瑠がトラックに轢かれてしまった。しかも前と同じトラック。

 赤黒く染まったトラックのバンパー、対向車のフロントガラス。ひと目見ただけで即死とわかる肉体。


 周りを見ないように家まで息を切らせながら走る。


 家に帰って今日のことを整理する。

 母のコトバ。

 時間割の謎。

 猫の存在。

 葉瑠の生死。

 意味のわからないことが起きて泣く気にもならない。

 

 数時間悩んだ末に自分の中である結論にたどり着いた。

 ””という言葉が。その結論があえば辻褄つじつまがあってしまう。


 夜の23:00。

 ニュースの音が聞こえた。

 今日のK県Y市で起こった交通事故のニュースらしい。

「亡くなったのは浅生 葉瑠が帰宅中にトラックに跳ねられて亡くなりました。容疑者は…」と聞こえたところで頭を殴られたかのように眠ってしまった。

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じこ事情 岳者 @rimoKON14

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