第54話 スリのトビー

 人に道を聞きながら冒険者ギルドを目指す二人。その後ろをいつの間にかつける人影があった。


ブルーはさっと振り返る。そこにはさっきのスリがいた。


「まだ何か用ですか?」


「!?」


小柄な少年でよれよれの汚いズボンをはいている。顔はすすけていて目だけギラギラしている。


「なんでもないよ。」


「でもさっきからつけてくる。」


「つけてないよ。」


「じゃぁもう僕たちについて来ないでくれるかな。」


少年は少しうつむくと、再び顔を上げブルーの目をギュッと睨みつける。


「間違いなくすれたはずなのに、あんた魔法を使ったな。」


「使ってないよ。」


「そのサイフはオイラの物だ。返せよ。」


「いや、私の物です。」


ラムサスが仏丁面になる。


「あのねぇ、ボク。人の物を取っちゃいけないんだよ。あんまりしつこいと憲兵に突き出すよ。」


さっとラムサスにぶつかる少年。しかし、さすがに躱される。


「オイラが失敗する訳がない! なんかイカサマをしたんだ!」


「イカサマとか人聞きの悪い。本当に人を呼ぶよ!?」


「お、いたいた。」


三人が話し合っていると、路地の奥の方から人相の悪い男たちが現れた。


「やぁ、トビーさんよ。探したぜ。」


トビーと呼ばれた少年は、一瞬で青ざめる。とっさに逃げようとするが、男に襟首をつかまれる。


「放せよ!」


「放さねぇよ、今月のショパ代。まだもらってないんだよ。3日も過ぎてるんだ。いい加減払って欲しいんだよなぁ。」


「あ、僕たちはこれで。その子と全く関係ないので。」


ブルーがニコニコ笑って手を振る。


「なんだねーちゃん。関係ないならさっさと行きな。見世物じゃねーし。」


「はい、さようなら。」


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