主人公が中々に未練たらしいのが、実に等身大な人間臭さが出て良いですねぇ。
10年という歳月は、それほどまでに彼と同期との間に、確かな絆を形作っていたというわけですね。
しかし、安穏とした日々を送りたい主人公とは違って、同期は上昇志向が強く高みを目指すタイプ、いずれ起こり得たことだった、それが今来ただけ、ということなのかもしれません。
そんな巣立つ彼女が頑張ってきたのは勿論ですが、その彼女が主人公の今までの努力を肯定するからこそ、残される主人公が救われた気持ちになり、快く見送ることができるようになったのだとも思います。
旅立ち新天地を目指すかつての仲間と、根差した場所で見送る主人公。
二人のそれぞれの思いが実に純粋で、眩しさすら感じます。
そんな二人の別れのお話、是非カフェで一杯のドリンクとともにお楽しみください。
10年一緒に働いてきた同期が会社を辞める。本人はこの会社でやれることは全てやった、学校と同じで「卒業」だとあくまで前向きだが、残される側は僕は君を引き留める理由にはならないのか、僕を置いて君だけ先に進むのか、と複雑な気持ちになる——。組織にお勤めの方だと、誰もが一回や二回、何ならもっと出会うだろう場面のお話です。作中の二人はそこに前向きな意味を見出してそれぞれの道を歩むのですが、二人が交わす言葉と抱く決意はぜひ本編をお読みいただきたく。
同様の別れを経験している方はしみじみと回顧されるでしょう。これから出くわすであろう若い方は、こんな考え方もあるかと心のどこかにしまい置いていただくとよろしいかと。