第一章:完結 第十話 赤い光の核心
灰色の異界空間の中、赤い光が中心に集まり、
三人の周囲を包み込んでいた。
光はただ揺れるだけではなく、
意思を持つかのように形を変え、
壁や床に奇怪な模様を映し出す。
「…やっぱり、ただの光じゃない」
賢人は端末を握り直し、光の動きを観察する。
「逃げても意味はない…向き合うしかない」
将暉の声は低く、決意に満ちていた。
「うん…怖くても、やらなきゃ」
咲良も小さく頷く。
三人は互いの肩に手を置き、目を合わせる。
「行くぞ…一歩ずつ、焦らずに」
賢人が声をかけると、
三人は赤い光の中心へ歩を進めた。
光は反応するように揺れ、
伸びる赤い糸のような光が三人を捕らえようとする。
その瞬間、咲良が端末を掲げた。
「情報を解析して…!」
端末の画面に光の揺れのパターンが表示され、
三人はその動きに合わせて進路を調整する。
光はまるで意思を持つ生き物のように、
中心で人影を形作った。
そこには、
光に呑まれた社員たちの姿もかすかに浮かぶ。
「…彼らを…救えるのか…?」
将暉が息を呑む。
賢人は端末を駆使し、
光の動きと周囲の歪みを読み解く。
「一定のリズムがある…
このタイミングで行けば、阻まれない」
三人は息を合わせ、
赤い光の揺れに身を委ねながら中心に向かう。
光が絡みつく瞬間、咲良が小さく声を上げる。
「わっ…!」
だが賢人が手を引き、将暉も支える。
三人は互いの力で光の束縛をかわし、
少しずつ核心に近づく。
中心に到達すると、赤い光は一瞬静止した。
光の中に浮かぶ人影がはっきりと形を持ち、
三人を見つめる。
「…これが、光の核心…」
賢人が呟く。
核心の光は揺れ、次第に圧力を増す。
空気が重くなり、呼吸が困難になる。
だが三人の決意は揺らがない。
「…怖くても、ここで立ち止まるわけにはいかない」咲良が言い、拳を握る。
賢人が端末を操作すると、
光の揺れが一瞬だけ収まり、
中心の人影が動きを止めた。
「今だ!」
将暉の声で、三人は同時に手を伸ばす。
触れた瞬間、赤い光が激しく弾け、
異界の空間全体が揺れた。
耳をつんざくような音と振動、
目の前の光は強烈に輝き、三人を包む。
しかし次の瞬間、
光は収束し、周囲の灰色が静まった。
光の中心には、光に呑まれていた社員たちが、
意識を取り戻しつつ立っていた。
「…助かった…」
咲良の声は安堵に震える。
賢人、将暉、咲良の三人も深く息をつき、
互いに肩をたたく。
「…これで、少しは状況が見えてきたな」
賢人が端末を確認する。
「光…異界…全てがつながっている…」
将暉も眉をひそめる。
灰色の廊下に戻ると、
赤い光は跡形もなく消えていた。
だが三人は知っていた――
この世界の異常はまだ終わっていない。
光の核心と接触し、社員を救えたことで、
異界の秘密の一端を知ったに過ぎないのだ。
「…次は、もっと深い場所に行かないと」
咲良が言う。
「そうだな…でも、今日の一歩がなければ、
ここまで来られなかった」
賢人が応える。
灰色の世界の中、赤い光の残像を背に、
三人は再び前へ進む。
高校生三人の戦いは、
まだ終わらない――新たな異界の扉が、
今、静かに開かれようとしていた。
赤い影 Yume konami @Yume_Konami
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