朔風払葉に浮かび上がる鬼火の風情の調べ。
芳烈で馥郁たる白香が魅せるクチナシの真実。
宓(ひっそ)りと、
闃(ひっそり)と、
赫黯(あかぐろ)い、なにかが……
すべてを語るには枚挙にいとまがないが、強いて挙げるなら難読漢字や当て字が特徴的だ。
おどろおどろしさや禍々しさを醸し出す独特で退廃的な美しさにホラーの魅力を感じる。
多少の読みにくさはあっても、それらを取り去っても夏の涼として味わうには十分価値を秘めた上質なホラー短掌編集。
あなたも愈々(いよいよ)か。
受け取った葛籠(つづら)を開ける時がくるとは。
願わくば、あなたの知っている世界が暗転しないことを祈る。