最初は、告白されて戸惑うサラリーマンの物語かと思いきや、そんな単純な内容ではなかった。
一人称小説の特徴かもしれないが、コト(出来事)よりモノローグが多い。
登場人物の心の動きが深く描き出され、自分にも思い当たる部分が出てきたり、いろんな意味で考えさせられる。
一言で言えば面白い、なんだけど、面白いだけでは済まされない何かを予感させる。
ゲイバーやオカマバーも興味深いけど、京都旅行に登場する俵屋なんて、
泊まった人にしか分からない描写があって、しかもその中で思わぬ事態が起こり…と、
心臓に悪いくらい、ドキドキする。
あくまで日常で、奇抜でもファンタジーでもないけど、だからこそ「来る」。
なんかもう、この先どうなるか分からないけど、どうなるか知らずにはいられない。
「彼」には悪いけど、個人的には「伊原さん」と幸せになってほしい(笑)。
甘いだけのボーイズラブ小説に食傷気味、という方にお薦めしたい。
告白された「僕」と、告白した「彼」は、この先どうなるのか。
あの上司とは、どうなるのか。
日記を読む感覚に近いから、先の読めない展開に緊張する。
時々登場する会社の同僚や、仕事上のトラブルなども、
かなりリアルで、身につまされる(笑)。
「僕」も「彼」も、相当複雑に物事を考える人物のようなので、
お湯を入れたら3分で完成、みたいに気楽なラブストーリーを求める方には不向きかもしれないけれど、ノンケの男性が男から告白された時の反応は、こういうものかも知れない。
しかもそれが親友だったりするから、一層「僕」の戸惑いや苦悩が大きい。
ただひたすら、見守るしかない。そんな気持ちで読める作品だと思う。