会話劇の完成度が異常に高い。二人の関係性が、台詞ではなく生活の手触りだけで全部伝わってくる。説明ゼロでバディの距離感を構築できている。これは地力がないと書けない。
文体に品がある。情報量の多い会話劇なのに読み疲れしないのは、緩急の配置が上手いから。張り詰めるシーンの後の息継ぎの入れ方がプロの呼吸。
キャラクター造形が全員鋭い。主役二人はもちろん、脇役が一言二言で立っている。全員が自分の人生を生きている感じがする。この人にも画面の外に日常があるんだろうなと思わせる書き方ができている。
事件そのものよりも、事件を通じて浮かび上がる人間関係の湿度で読ませる構造になっていて、ミステリーの皮を被ったバディ文芸として非常に質が高い。この二人の次の仕事が読みたくなる、そういう引力のある作品です。