地元に古くから伝わる地図から、昔話『竹取物語』や『人魚姫』にまつわる謎の「宝」を追っていく――
月読峠という謎多き土地になぞらえ、月に還る「かぐや姫」へ展開する物語は、まるで昔話をもう一度語り直すように丁寧です。
『竹取物語』の主人公、夜少年と七巳のやり取りは軽やかで、日常の一コマを覗いているようであり、日常の延長にある小さな冒険と謎解きの果てで、古地図の宝物を見つける結末はほっと穏やかでやさしい気持ちになるものでした。
『人魚姫』の主人公、葵と一歩希は理知的に謎をどんどん分解していくスリルと高揚感があり、日常から非日常へ切り込んでいく姿が非常に面白かったです。人魚姫の声なき歌を辿るように、古地図に記された和歌から真相に迫っていった先は少し物悲しくも美しいものでした。
短編としてまとまっていながら、昔話の不思議な魅力をふんだんに味わえる素敵な作品でした。
「ツキヨム」楽曲化短編小説コンテストの作品です。このコンテストの応募作品は、読み応えがあるものがとても多いのですが、
この作品もものすごく素敵なんです。
かぐや姫の世界線が物語を進行させる導線として
巧みに使われています。
そして第2章では、それが人魚姫につながっていく。人魚姫、もしかしたらこうだったのかもしれません。
そうだったかもしれない。
そう思うと違和感がない。
もしかしたら、こういうことだったのかもしれない。
そう思わせる力のある素敵な作品です。
そして、読後感がとても爽やかです。
よかったと思えます。素敵な気持ちになりました。