第5話

 実家に到着したその夜、日付が変わる前に姉が産気づいた。

 

 病院に電話し、様子を説明すると、すぐ来てくださいとのことだった。

 俺は、姉と母親が準備している間、急いで車に乗ってエンジンをふかす。


 まさか、来て早々に産気づくとは思わなかった。


 カーナビには、まだ病院を登録していない。

 操作しようとするが、焦ってうまくボタンが押せなかった。


 一度、ハンドルから手を離し、深く息を吐いた。

 そして前を向き、また操作に戻る。


 カーナビに病院名を打ち込むと、場所がヒットした。

 ちょうどその時、姉と母親が後部座席に乗り込んできた。


「う、ああ、痛い……」


 その声に、また焦ってしまう。

 なるべく気持ちを落ち着けて母親に尋ねた。


「病院、ここでいいんだよな?」


 カーナビを指差して尋ねる。


「うん、そうそこ。出して」


「わかった!」


 行き先をセットすると、カーナビにルートが表示された。

 そこには、二つの経路が示されている。


 その二つは、それほど時間は変わらなかった。

 ただ、その一つは少しだけ距離が短いようだった。


 画面を動かし短いルートを確認すると、「国道46号線」という文字が目に入る。

 急いでそのルートを選択しようとした時、あの言葉が蘇った。


「ヨンロク、ダメ」

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