あの日ノ帰り道

鴉山宗

第1話

 俺は、普通の学校に通い、普通の会社に就職した人間だ。

 会社でも目立つ方ではなく、淡々と業務をこなしている。

 休日は家で寝ているか、たまに釣りに出かける程度だ。


 そんな普通の男である俺は、荷物を詰め込んだ車で実家へ向かっている。

 理由は姉の出産だ。

 姉はちょうど実家に帰省していて、どうやらこちらで産むらしい。

 しばらくの間、運転手役として実家に戻ることになった。

 

 俺の仕事中に陣痛が来た時は、マタニティタクシーを使うそうだ。今は便利なサービスがたくさんある。

 それでも、夜間に陣痛が来た時は、運転できる人がいた方が安心ということで、しばらく実家に寝泊まりすることになった。

 特に旅行の予定も友人との約束もない。何より実家のご飯が食べられるから悪くない。


 実家の近くまで来ると、見慣れた風景が広がる。

 最近は通ってなかったが、小学校の通学路にさしかかると、遊んでいたあの頃を思い出す。


 路地の方に入ると、少し山のようになっている場所があった。

 その山には、百段ほどの階段が続く神社があり、麓の入り口には鳥居がある。

 久しぶりの光景に、あの時のことを思い出した。


 そう、こんな俺にも、一つだけ普通じゃないことがあった。

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