子供たちの努力が文字通り結晶になって、船の燃料として運び出されていく星の話です。よく学んだ子から順に旅立っていく。だから語り手のイトは、結晶しないまま身体だけが育ってしまった「落ちこぼれ」として、ずっとこの星に残っています。
好きだったのは、ユナの口癖でした。「私はイトみたいにはならない」。本人を目の前にして毎日そう言うのに、イトのほうはそれを嬉しく受け取っている。他の大人の前ではきちんと猫をかぶっている子が、自分の前でだけ気の強さを隠さないから、と。ひどい言葉がそのまま親密さの証になっていて、二人がどういう関係なのか、説明ぬきで伝わってきました。
冒頭のフェンスの描写も、読み返してから気づきました。「頼りないほどに低い」と書かれていて、後のほうでもう一度、少し違う言い方で出てきます。同じ場所を二度書くだけで、語り手の立っている位置が変わったことが分かる。静かなのに容赦のない書き方だなと思いました。
誰かの願いを、心から喜んであげられなかったことのある方に。
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