はじめはこれほどの大作とは思っていませんでした。
二十年ほど前、私は狂気太郎氏のホームページに入り浸っていました。
その中で数々の名作、例えば「殺人鬼探偵」をはじめ「影を往く人」「モラル」「地獄王」などの、とんでもなくダークで厳しくちょっとユーモラスな作品たちの虜に今でもなっています。
そんな私が衝撃を受けたのがカイストシリーズの「原点」です。無常で悲しく、それでいて矜持のある魔人たち「カイスト」に圧倒されたのです。
そのときはまだ「ああ……またすごい小説がでてきたなあ」と思ったくらいで、「カイスト」がとんでもなく広大な背景を持つと知りませんでした。
「原点」から続々と、世界観を同じくした小説が出されるたびに私は引き込まれていきました。
最強とは、最高とは、最悪とは、最低とは、矜持とは、プライドとは、世界とは、運命とは……「カイスト」は自分なりの「答え」を得るために何億年も転生し続けます。
血と汗と涙を振り絞って、からっからに乾ききった出涸らしになろうとも、更に更に己を追い詰めて完成した怪物が「カイスト」なのです。
今では氏の作品の中で、最も好きな小説群になっています。一体何度読み返したか分かりません。
また作者のとんでもなく深い洞察により「カイストシリーズ」は転生に対する一つの「答え」になっています。
もちろん答えは複数あるとはいえ、一つの解を掲示しているだけで恐ろしいです。
web小説を読み漁ってきた私ですら答えと言えるのはこの作品くらいしか知りません。
そして、ついに一つの結末として本作「新しいラブソングを」が公開されます。
あまりにもたくさんの謎がありました。あまりにも不可解な点がありました。
三十年かけた多くの多くの伏線が、ある程度解消されるのです。
ファンとして、喜ばずにはいられません。ファンとして、こんな瞬間を見られるなんて幸せ以外の何ものでもありません。
カイストシリーズ、最高最強の小説群です。あなたの心が震えた瞬間を、ともに叫び合いましょう。