昨今、WEB小説やラノベには「わかりやすさ」や「即効性」が蔓延している。
これがダメだとは思わない。商業的にも優秀だし、手軽で、すぐ面白い。
でも「わかりにくい」「遅効性」は悪だと決めつけるのは待って欲しい。
ハリーポッターをはじめとした長編ファンタジーには、作品を貫く謎が不可欠だ。全て解決して次へ、だと物語がぶつ切りになってしまう。この作品はそんな遅効性の毒を多分に含む作品である。
私は長編を読む際、その作品が自分の時間を投資するに値するかを決める指標がある。
それは「キャラクターに感情が乗っているか」だ。
どれほど謎が増えたとしても、キャラクターの感情さえ読むことができれば、言い方は悪いがその他のギミックは全て「さらっと流せる」。なぜならそれらは全て、キャラクターの葛藤や決断を盛り上げるための小道具だからだ。逆にキャラクターに感情が乗っていなければどれだけ壮大で美しい世界でも、陳腐で尻すぼみな印象になってしまう。
私はこの作品の1章を読み終え、胸が熱くなった。1文字1文字を拾うような読み方はしていない。それでも熱くなった。
あまり褒められた読者ではないと自分でも思う。だが上手い作者は私のような読み方すら考慮して物語を組んでいるのだろう。さすがである。
そして、私は岐路に立たされている。
しっかりと物語を味わうためにもう一度最初から読み直すべきか。それとも駆り立てる心に従い2章に進むべきか。
贅沢な悩みだ。
なかなかこんな悩みをもたらしてくれる作品はない。
おすすめです。
追記:作者さんの近況ノートにキャラクター紹介がありました。
こちらを参照すればより作品への理解が深まります。親切です。
おとぎ話は、温かな嘘でできている――。
そう語る声から始まる、幻想的なダークファンタジーです。
童話のような語り口なのに、最初に突きつけられるのは現実の冷たさです。
冷たくて、美しい。
どこか叙情詩のようで、静かに引き込まれていきます。
出てくるのは、五人の少女たち。
過去も性格もばらばらで、最初は噛み合いません。
それでも、少しずつ同じ場所に集まっていきます。
ドラクロワが私は好きでした。
泥だらけになっても誇りを失わず、強くあろうとする姿が印象的です。
献身的なルルナとの絆も見逃せません。
「黒鉄の処刑者」ノクスの無機質な強さ。
その中にふと見える、わずかな優しさも魅力的です。
現実を突きつけるルナリスの在り方も、この物語に緊張感を与えています。
彼女が少しずつ変わっていく描写も見どころです。
生活の音が似合うサーヤ。
料理の匂い。生活の音。温かな灯り。みんなで囲む食卓。
過酷で残酷な世界の中で、その時間だけが、確かにあたたかく感じられます。
語り手ラピスが綴る「記録」という形も印象的で、その静かな視線が、物語に余韻を残します。
幻想と現実、その温度の対比が、静かに残る作品でした。
1章までを読ませて頂いた感想です!
登場人物は仲間を思う健気さを持ち合わせているように思います。
ユーモアも持ち合わせていて全員がとても魅力的です!
そんな魅力的なキャラクター達の中でも特に自分が好きなのはノクスとサーヤです。
ノクスがサーヤを護る意識のようなものがたまに妙な方向に働いて
真面目なボケをかます姿に和み笑えました。
世界観も作り込まれていて、出てくる様々な物に無駄を感じない作りは圧巻です。
シリアスな世界なのかと思えば所々にギャグが挟まったりして全く飽きなく読み進められるオススメの作品です!
続きがとても気になる作品です!これからも応援します!
非常に繊細で、細部までこだわり抜かれた言葉選びに、目を見張ります。
文章の美しさが秀逸です。
辺境の食堂の看板娘サーヤ。
彼女はある日、街まで買い出しに出かけます。
その帰り道、ふと立ち寄った小川で、サーヤは不気味なものを見かける。
川に浮かんだ、墨を流したように不気味に黒ずんだ魚たち。
異変はそれだけではなかった。
故郷は、墨をぶちまけたような灰色に沈んでいた。
そしてそこに住む人々は、古い彫像のように漆黒の結晶に変わっていたのだ。
兵士たちが、ただ一人の生存者サーヤを狙う。
生きるために、必死に逃げるサーヤ。
この先に、いったいなにがサーヤを待ち受けるのか……。
皆様もぜひ、美しい文章で綴られる世界をご堪能ください!
これは呪いの様に世界を蝕む病の中で、泥臭く生きた者たちの生き様を綴った語り部の記録です。
記録は穏やかで暖かい村の一幕から始まります。
「野うさぎの尻尾亭」の看板娘であるサーヤは、その日、食材の仕入れのために住み慣れた村を後にします。
新しい素材を使ったとびきり美味しい料理。それを口にする人の幸せそうな顔。
そんな未来を胸に浮かべながら村を出た彼女でしたが、そんな楽しい未来がサーヤの元に訪れることはありませんでした。
村に戻ったサーヤが目にしたのは色を無くし、静まり返った故郷の姿。
石のようになってしまった村の人々。
静寂な中に漂う異質な死の匂い。
日常を荒らす軍靴の轍。
それはまさに彼女が愛した日常の色が失われていく瞬間でした。
そこから彼女の過酷な旅が始まります。
失われた日常の色を取り戻す旅が…
そして旅の途中で、サーヤは、様々な「色」と出会います。
人を蝕む酷薄な呪いに満ちた世界の中にあってもなお、強い色彩を放つ魂の持ち主たちに…
これらの色が混ざり合い、新たな日常を形作っていく様は、泥臭く、苦しくもどこか暖かくて優しい記録として語り部によって少しずつ綴られていきます。
どんな色なのかは、読んでのお楽しみ。
世界設定は著者の近況ノートに綴られているのでそちらを読むのもいいでしょう。でも実は私、後からそれを知ったので、読んでいませんでした。
この作品は文字を読んで場面を想像するのが、とても楽しい作品です。
レビュー時点で、まだまだ記録は続いていますが、毎回続きを読むのが楽しみ(場合によっては怖い)です。
是非ご一読ください。
……まさに、ダークファンタジー。素晴らしいクオリティの小説だと私は思った。
生きたいという人間としての最大の本能。本作は、それを最大限表現できている。謎の病気と病気を恐れる人々により、故郷を失った村娘のサーヤと彼女を助けた謎の女戦士、ノクス。王女としての誇りを捨ててまで生きようとするドラクロワと、彼女に助けられたスラムの少女ルルナ。四人には、魔物や病気など様々な試練が襲い掛かってくる。だが、四人は決して諦めない。ただ、生きたいという願いを元に足掻き続ける。
……そんな泥臭く、必死な姿こそ本作の魅力なのではないだろうか。
第一篇一気読みしました。
作者様も推されていますが、読む環境を整えて没入感をあげると一層楽しめる作品だと感じました。
序盤は世界観、特に環境音、各種擬音にてまるでその場にいるかのような体験をさせてくれます。
中盤からは個性的なキャラクターがでてきて物語を盛り上げていきます。
ストーリーは日常中心ながらも各キャラクターの個性や心理描写が細かく描かれており、こちらについても高い没入感を味わえます。
また、ほのぼの日常回だけかと思いきや、シリアスなシーンもあり、それが戦闘でなくても臨場感や緊迫感を演出しています。
非常に続きが気になるいい作品だと思うので、是非時間が取れる際にゆっくり腰を据えて読んでみてください。
ちなみに私はノクス推しです。