これ、設定の勝利ですね。
寿司のない異世界という一点突破が強いです。魔王が海に毒を撒いたから人間は魚を食えない。この設定だけで、主人公が魔王を倒す動機、寿司職人としてのアイデンティティ、異世界での立ち位置が全部繋がっています。普通の異世界転生ものがチート能力で動機を作るところを、寿司を握りたいという執念で回しているのが新鮮です。
第一話のラストが完璧でした。「……鮪じゃねえか」。本間鮪という名前の男の頭に鮪が落ちてくる。バカバカしいのに、ここまでの鬱屈した回転寿司パートがあるから笑える。緩急の設計が上手いです。
掛け合いも良いテンポです。「刺身は豚の餌じゃない!」→食べる→吐く。この三拍子のコメディが気持ちいい。呆れ顔が読者の代弁者として機能しています。
一点。ギルド登録シーンは、メタネタとして少し手垢がついている印象です。ここは主人公の寿司バカっぷりで突破したほうがこの作品らしい。「料理人ギルドはどこですか」「ありません」のほうが、この話の推進力に合うかもしれません。
続きを楽しみにさせていただきます。