これまでの前提を書き換えるような新技術が登場した。誰も触らない未開の領域だ。
皆こぞって導入を目指し「PоC」――要するにワンチャンありそうかを検証する。
その結果はどうやら上手くいきそうと出た。さあ、夢物語を現実にするのだ!
……これは、夢を現実にする際に生まれる、とある試練の物語である。
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液浸冷却という斬新な手法をテーマに語られるのは、社会の縮図。
こういった「新しいもの」の黎明には、必ず誰かの血が必要になる。
今日もどこかで荒魂の世話人たちは血反吐を吐きながら奉仕を行う。
うまくいけば豊穣をもたらし、会社村は当期の飢えをしのげる。もちろん、これによる褒章を受け取るのは「優れた指揮」をした村長となる。
うまくいかなければ、その時は下手を打った代償に、荒魂にその身を捧げるのが宿命だ。
今、穏やかな風が頬を撫でているのは、数多の犠牲によるものなのである。