第2話 夢の公園
その夜、
京子は、
ふしぎな夢を見た。
目を開けると、
京子は、
知らない公園に立っていた。
でも、
なぜか怖くはなかった。
空は明るく、
雲はゆっくり流れている。
風も、
ひんやりして気持ちがよかった。
「ここ……どこだろう」
そう思ったのに、
足は、
自然に前へ進んでいた。
公園のまんなかには、
半分だけ地面が盛り上がった、
ドームみたいな小さな山がある。
その山の上から、
すべり台が一本、
ずーっと下まで伸びていた。
京子は、
すべり台の階段をのぼった。
上に立つと、
公園がよく見えた。
広すぎず、
せまくもない。
ちょうどいい広さ。
京子は、
すべり台をすべった。
風が、
耳の横を通り抜ける。
すべって、
走って、
またのぼる。
それを、
何度かくり返した。
ひとりで遊んでいるのに、
さびしい感じはしなかった。
ふと、
ボン、と
何かがはねる音がした。
見ると、
公園の奥のほうで、
男の子がひとり、
ボールを蹴っている。
京子と、
同じくらいの年。
男の子は、
ボールを足で止めて、
すぐに蹴る。
止めて、
蹴って。
また止めて、
蹴って。
何度も、
同じことをくり返していた。
「サッカーの練習かな」
京子は、
しばらく、
その様子を見ていた。
男の子は、
一生懸命だった。
うまくいかないときも、
すぐにボールを拾って、
また蹴る。
「すごいな……」
京子は、
少し迷ってから、
声をかけた。
「ねえ、
いっしょに練習、
しようか?」
男の子は、
少し驚いた顔をしてから、
うなずいた。
二人は、
向かい合って立った。
男の子が、
ボールを蹴る。
ボールは、
まっすぐ、
京子のほうへ来た。
ぴったり――
来たはずなのに。
「わっ……!」
ボールは速すぎて、
京子の足の前を、
すっと通りすぎてしまった。
「ご、ごめん……」
京子は、
あわててボールを拾い、
今度は、
自分が蹴り返した。
でも、
ボールは、
男の子の足から、
少しだけずれてしまう。
男の子は、
気にしていないように、
またボールを蹴った。
また、
速いパス。
また、
止められない。
思ったところに、
ボールを返せない。
「むずかしい……」
ちゃんと見ているのに。
ちゃんと考えているのに。
頭の中では、
「ここ」と思っているのに、
体が、
うまく動かなかった。
そのとき、
公園の音が、
少し遠くなった。
風の音も、
ボールの音も、
ゆっくり、
ほどけていく。
京子は、
はっとして――
目を開けた。
天井が見えた。
カーテンのすきまから、
朝の光が入っている。
……夢?
でも、
胸の奥には、
まだ、
あの公園の感じが残っていた。
すべり台。
ドームみたいな山。
速すぎるパス。
へんな夢……
京子は、
そう思いながら、
布団から起き上がった。
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